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堕天使と殺人鬼
【二次創作 その他小説】

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堕天使と殺人鬼--第4話---1

 太陽の光が目に当たって眩しい。身体を起こして一度目を擦ると、彼は時計に手を延ばした。――ヤバイ……。瞬間、彼は苦笑していた。





オリジナル・バトル・ロワイアル

堕天使と殺人鬼 --第4話--
〜最後の平和篇〜





 その日、水樹晴弥(男子十七番)が学校へ行くための用意を終えて自宅を出たのは、午後十二時を過ぎた頃だった。昨日(正確には今日か)夜更かしをしすぎていたためうっかり寝過ごしてしまい、学校は完全に遅刻であった。
 普段なら遅刻してもあまり気にしない彼だが、今日は少々焦っているようだ。のんびり屋の彼にしては普段よりも、足取りが早い。
 それはそうだった。晴弥が通う月沢中学校は、明後日から期末テストが始まる。晴弥はそんなに成績が良い方ではなかったが、テスト範囲を把握して勉強すると言う努力は、一応毎回やっていた。なのにこんな――大切な時期に寝坊する自分は、本当に間抜けだ。授業に出なければ範囲なんて分からない。
 晴弥は暫く自嘲していたが、すぐに、「まあ、なんとかなるか。」と気持ちを切り替えた。そう言う楽天的な考え方ができるのは自分の良いところであり、悪いところでもある――そんなことを思った自分に、またも苦笑してしまった。
 学校までの道なりを半分ほど進んだところには、凶暴な大型犬を飼っている二階建ての家がある。晴弥が近くを歩くと歯を剥き出しにして吠えて来るが、毎日のことなので気にしなかった。威嚇している犬の前を堂々と通過しながら晴弥は、授業が始まったらなんて言い訳をしよう――とか、テスト範囲をクラスメイトたちに教えて貰おう――そんなことを考えていた。先ほどとは全く違う、いつもと同じのんびりとした足取りであった。

 晴弥が学校に到着して自分の下駄箱の前で靴を脱いだ時、決して心地良くはないチャイムが響き渡った。携帯を取り出して時間を確認すると、調度昼休みが始まった頃のようだ。ツイてる。そう思いながら晴弥は上履きを履いて、愛用のスポーツシューズを棚へ押し込むと、自分の教室に続く階段を足で蹴った。
 この時晴弥は、彼の通うクラスがいつものように賑やかで穏やかな雰囲気であると、妙に確信していた。根拠もなにもないそれは、彼が普段の生活に慣れきっている証拠だった。

 自分のクラスを目前にした時、普段の騒がしい声が聞こえないことに多少の違和感を覚えた。しかし、そこは水樹晴弥である。大して気にも止めなかった。
 教室の扉を開けて一方足を踏み入れた時、中にいたクラスメイトたちが揃って晴弥に振り向いた。静まり返った教室でのその動作は、音がしたような錯覚に捕われる。晴弥の姿を見たクラスメイトたちは、すぐに視線を元の場所へ戻した。今の出来事で、ようやく晴弥はクラスメイトたちの様子が普段と全く違うことに気が付いたのだった。そこは、暗い雰囲気が漂っていた――例えるならば、男子お調子者の柴木一平(男子六番)がギャグを外した時に似ている――冗談はさて置き、とにかく、明らかにいつもと様子がおかしい。
 さすがの晴弥でもそれには動揺した。困惑しながら、自分の所属するグループが集まっているところへ向かう。
 途中で仲の良い生徒たちと挨拶を交わす。その生徒たちの声は弱々しかった。普段なら、何故遅刻したのか聞いてきたりなんなりするはずなのに、だ。


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