処刑なき罪人-1
私は家族を愛している。
優しくて仕事もできるひとつ年上の旦那。
女の子なのに芯がしっかりしていて、明るく笑顔を絶やさない大学4年生の娘。
誰よりも気配り上手で料理が得意な専門学校2年生の息子。
こんな家族に囲まれて、私は本当に幸せだと思う。
なのに、神様はどうして意地悪をするのだろうか。
息子が友達だといって家に彼を連れてきたのは2年前だった。
当時彼らは高校3年生で、まだ若干のあどけなさが残っていた。
いつも部屋が汚い息子、その日の荒れ様は特にひどく、少し片付けるからと友達をリビングで待たせていた。
それを見て呆れた私は、気まずそうにソファーに腰掛けた彼に紅茶とお菓子を出した。
「ごめんね、すぐに終わるだろうからゆっくりしてってね。」
「あ、はい、ありがとうございます。」
ぎこちなく彼は答えた。無言で同じ空間にいるのはなんだかきまり悪いので、私は話し掛けつづけた。
「部活は何かやっていたの?もう皆引退してるだろうけど」
「あ、野球部でした」
「ほんとに!!」
根っからの野球ファンの私。昔から息子が生まれたら絶対野球少年にしてやる、目指せ甲子園…などと勝手に思っていたのだが、肝心の息子は全く野球に興味を持ってくれず、仕方なしに諦めていた。
そんな息子に野球部の友達がいようとは。しかも彼、野球の話となると人格が変わったかのように話し始めた。
そんなこんなですっかり盛り上がってしまい、情報交換をしようとメールアドレスを交換した。なんとなく気まずいので、息子には内緒ということで。
あの日の夜からずっとメールは続いている。
もちろん野球の話はするけれど、大半がそれ以外のこと。
日常の他愛もない出来事を連絡しあえることが嬉しくてしょうがない。
いつしか外で会うようになり、自然な流れでホテルにも行くようになった。
家族に対する罪悪感がなかったのではない。
ただ、それ以上に行き場のない感情が高ぶってしまった。
もう歯止めが利かなくなっていたのだった。
どちらからともなく、唇を寄せ合う。
初めは軽いキスのつもりが、あっという間に深いものに変わる。
クチュッ…レロッ…
互いの舌を求め絡め合う音が、私を酔わせる。
呼吸をする時間すら惜しいくらいに、相手の頭と背に両手を回し、深く深く口付ける。私は時折うっすらと目を開け、彼がここにいること、この時間が嘘ではないことを確認する。
長いキスが終わると、彼は私の耳元、首筋、胸元へと舌を這わせていく。それだけで私の秘部は充分に潤った。
左右の胸を交互に鷲掴みにされ揉まれる。更に突起をこねるように指でいじられる。