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Ordinary Diary
【純愛 恋愛小説】

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Ordinary Diary U-3

「お帰り、練習付き合ってよ」

「疲れて帰ってきた兄貴に最初に言う言葉がそれかよ」

こいつは弟の公貴、サッカーバカの中学生だ

「ちょっとでいいからさ、それとも俺の新たなフェイントを止める自信がないのかな?」

「言うじゃねぇか、後悔すんなよ」

そう言うと羽織っていたブレザーを脱ぎ捨てボールに向かって行く。

向かって来た俺を確認すると、公貴は誘うように俺の目の前にボールをだし小刻みなステップを踏む。

ボールを餌に俺をギリギリまで引きつけて寸前でかわそうとする。

が今まで何度も見せられた動きに吊られるほどこっちもバカじゃない、進行方向を読み切り体を入れてボールを奪う。

「あっ!」

「ハッ、年長者を舐めるなよ」

ボールを奪った俺は挑発するようにリフティングを始める。

あいつの性格はよく分かってる。

予想通り頭に血が登りやすい公貴は突っ込んでくる。

相手の足がボールに触れるすんでのところでヒールで自分の背後に回し、チャージをかわす
前につんのめって転びそうになっている公貴を嘲笑って顔を上げると少なくとも今は会いたくなかった人物が視界に入る。
「あ…国元…さん」

俺の家は学校からかなり離れているので同級生と会うことはめったにないとたかをくくっていたが、まずったな…

バツの悪い俺とは対照的に、彼女は少し前の俺の態度もあまり気にしていないようだった。

「なぁんだ、サッカー上手じゃん。」

そう言って俺の側に歩み寄る。

「別に…中学の時にかじった程度だし…」

足元に転がっていたボールを蹴り上げ、リフティングをしながら答える。
公貴が興味深々といった顔でこっちを見ているが………後でシバくか

「そんなにサッカー好きならなんでサッカー部に入んなかったの?」

上手くコントロールしていたボールが地面にこぼれ落ちる

全く…人が話したくないことにズバズバ切り込んでくるなこの人は…

「弱い部で試合したくないんでね。おい!行くぞ」

そう言って足元に転がっているボールを右足に渾身の力を込めて振り抜く。

右足から放たれたボールは公貴の額に当たって大きく跳ね上がる。

変な呻き声が聞こえたが今はそんな事を気にしているヒマはない。

彼女に別れを告げる事なくそのまま重い足取りでボロい我が家に向かう。

弱い部では試合したくない、よくそんなセリフが吐けるもんだ。
自分で自分が嫌になる。

「なぁなぁ、さっきの人って兄貴の彼女?」

ニヤニヤしながら質問してきた公貴の鳩尾に肘うちを喰らわせて玄関のドアを開ける。



淀んだ空からはまた雨が降り始めていた


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