ご主人様のため・・・〜私の好きな人は〜-2
数日後−−−−
ガラガラ………
「こんにちは〜」
「亜雄兄〜遅いじゃん!!」
「俺は人の命を預かる仕事してんだぞ?亜希のためとはいえ、すぐには来れないっての!」
一人、仕事のため遅れていた、東堂家の長男・亜雄斗が合流した。
そしてもう一人……
「良平くん♪」
「なっ奈歩!!!」
亜雄斗の後ろからひょっこり顔をだしたのは、亜希の親友・奈歩だった。
「久しぶりにね、なんか変化があったかなぁ?と思って亜希の家に行ったら、おばさんから沖縄のこと聞いて、亜雄斗さんが遅れて行くから一緒に行かないかって誘ってくださったの♪」
「そうなんだ。でもビックリしたなぁ〜」
「良平〜亜雄兄〜早く上がってスイカ食えよ〜ってなんだこの美人は!!!!」
奥の部屋からひょっこり顔を出した克紀は、今日も驚きのハイテンションである。
「初めまして、斉木奈歩です。よろしくね!」
「よっよろしくお願いしますぅ!!!!さぁ汚い家ですがどうぞどうぞ〜」
「お邪魔します!」
「ったく美人に弱いんだから………」
「克紀も相変わらずだな。……ところで亜希の方はどうなってんだ?」
「それが……人違いで……」
「そっかぁ………亜希みたいに可愛い子は滅多にいないと思ったんだけどなっっ!」
ニカッと笑ってそう言った亜雄斗だが、どこか淋しそうだ。
皆、明るく振る舞ってはいるものの、内心淋しくて堪らないのだ。
『これからどうすればいいんだろ……亜希……』
ガラガラ………
「深谷………久しぶりだな」
「早坂翔太!!!!なんでお前が………」
「ちょっと亜希のことで話しがあってな。」
・・・・−−−−
「はぁ〜………」
あの海岸で、体育座りをし、亜希はため息をついていた。
「どうすればいいんだろ………」
「戻ってくればいいんじゃないの?」
「えっ?」
バッ
亜希の後ろに良平が立っていた。
「りょうちゃん!!!」
素早く立ち上がり逃げようとする。
が、
「待てって!!」
ガバッ
後ろから良平に抱きしめられ、捕まってしまった。
「はなしてよ!!やぁ!!」
「嫌だ。絶対はなさない。やっと見つけたんだから……。」
「でもダメなのぉ……私はりょうちゃんに抱きしめられる資格なんてないの。ひっく……うぅッッ……」
「全部早坂から聞いたよ。バカ……亜希がいない方が、亜希に会えない方が、亜希が元気なのかわかんない方が傷付くし、不安だし、悲しいし、淋しくてたまらないよ。
頼むから……もうどこにも行ったりしないでくれ……。」
ギュッ
亜希を抱きしめる腕に一層力が入る。
「りょうちゃん……いいの?りょうちゃんのこと裏切ったんだよ?」
「うん。」
「りょうちゃんに散々心配かけたんだよ?」
「うん。」
「私……早坂翔太と……」
「亜希は俺が好き??」
「大好きだよ!!」
「じゃあいいだろ?」
「……」
くるりと良平の方を向いて、顔をジッとみて、亜希はいった。
「………ただいま。」
「おかえり、亜希。」
ちゅっ………