刃に心《第−1話・剣に誓った初恋〜前編》-1
「ハロ〜皆さん♪美少女くノ一と言えば私、忍足霞でぇす♪」
「どうも。主人公の親友で常識人のシイタケこと椎名武慶です」
この世界の影の立て役者のナレーションですよ!
「突然ながら今回は第−1話と言うことで番外編をやっちゃいましたぁ!はい、拍手〜♪」
パチパチパチパチ!
「さあ、シイタケ先輩。タイトルコールやりますよ!」
「タイトルコールなんて必要か?」
「必要ですよ!つべこべ言わずにさあ!『刃に心番外編』!」
「…『第−1話』」
「「『剣に誓った初恋』」」
前編の始まりです。
《第−1話・剣に誓った初恋〜前編》
◆◇◆◇◆◇◆◇
「さて、始まりました『刃に心』番外編。番外編は毎回ゲストを呼んで過去を根掘り葉掘り、赤裸々に暴露していきます!」
ちなみに、本編にあまり関係ありませんので、むちゃくちゃになる可能性がありますが、悪しからず…
「初回のゲストはこの人」
「兄貴の許婚、女剣士の小鳥遊楓ねえさんです!では、どうぞ〜♪」
がらりと扉が開き楓が入ってくる。
「こ、これは一体何なのだ!?」
いきなり呼び出されたので、少々戸惑っていますね。
「小鳥遊は番外編初めてのゲストに選ばれたんだ」
「へっ?ゲスト?番外編?」
「とにかく、楓ねえさんと兄貴の出会いを皆さんに見てもらおうと言うことです」
「よく判らぬが…10年前のことを話せば良いのか?」
「そうだ」
「う〜む…」
何か乗り気じゃありますんね。
「二人の出会いは二人だけの秘密に…なんて思ってんじゃないの?ねえさんって結構ロマンチストだから♪」
「そ、そんなこと…」
「図星か」
「う、五月蠅い!!」
「パンダ好きだしね」
「パンダは関係無かろう!!」
「まあ、小鳥遊が渋ろうとこっちにはVTRがあるんだがな」
武慶は2本のテープを楓に見せた。
「なっ!!」
「ふふっ♪テンパるねえさんで遊んでみました♪」
「ふ、ふざけるな!」
「それでは、VTRスタート!」
「あ、ちょっ…」
ガシャンとテープがデッキに飲み込まれ再生される。
◆◇◆◇◆◇◆◇
「父さん、こんな山奥なの?」
疾風が父の才蔵に尋ねた。周りは草木が生い茂る完全な獣道。
二人はかれこれ麓から3時間程歩き続けていた。
「ああ。山に籠るのが趣味のような男だからな」
「どんな趣味だよ…」
「もうすぐだ。ほら、あの小屋だ」
眼前には小屋というよりはログハウスといった感じの家が建っていた。
疾風は背中の荷物を背負い直し、その家に向けて歩き出した。