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刃に心
【コメディ 恋愛小説】

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刃に心《第13話・サイレントキラー〜無音の殺し屋》-7

───コンコン。

「は、はい!」

握っていた手を解き、疾風は多少うわずった声で来客を迎えた。
入ってきたのは刃梛枷だった。

「貴様!何をしに…」
「待て」

疾風は居合刀に手を掛ける楓を制した。

「どうしたんだ?」

そう問い掛けると刃梛枷はゆっくりと口を開いた。

「……貴方に謝りに来た………本当にごめんなさい…」

頭を深々と下げた。
その姿に毒気を抜かれたのか、楓は居合刀から手を放した。

「いいよ。黒鵺だってやりたくてやってた訳じゃなさそうだし」
「……でも、私は貴方を殺しかけた………それは許されないことだと判っている………だから、償わせてほしい…」
「いや…償いとかはいいから。それより、身体は大丈夫?」
「……えっ…?」

刃梛枷の瞳が少しだけ大きくなった。

「え、じゃなくて身体。刺されたろ?俺を庇って」
「………大丈夫……」
「そうか。あの時はありがとう♪」

疾風はそう言って微笑むと、刃梛枷の頬が僅かに色付いた。
それを楓は見逃さなかった。

「………」

じと目で疾風を睨み付ける。

「何だよ…その視線は?」

楓は無言で疾風の手をギュムッと抓った。

「いっ!?」
「ふん…」

楓は頬を軽く膨らませてそっぽを向いた。

「……大丈夫…?」
「ああ…大丈夫…」
「……そう…」

刃梛枷の口許に微かな笑みが浮かぶ。
今まで見たこともない表情に疾風は思わずドキッとした。

「………」

ギュムッ。

「いったぁ!?」
「ふん…」

再びそっぽを向く。

「……それとありがとう…」
「へっ?」

疾風は抓られた手を擦りながら聞き返した。


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