「本気の恋。はじめました。(上)」-4
「あのさ、なんで嫌だったの?あそこ」
「も、元カレがいて…」
「なんか嫌な思い出なんだ?」
「浮気されて…別れました」
「そうか…まぁ俺にはわからんけど。よくある話だな。実際おまえらがやってるのも同じ様な事だしよ」
…むかついたけど何も言えなかった。
「おはよっ美鈴〜」
「おはよ!まこと〜」
相変わらずタイミングの良いまことだ。
「いらっしゃいませ〜」
「うわぁおやじ客〜つきたくない!」
「ね!やだやだ!」
紳士なおじさまならいいけど、いかにも質の悪い客っぽいベロンベロンなおやじが来た。
ああゆうのはずうずうしい上にケチなんだ!
「じゃあ美鈴ちゃん、まことちゃん行こうか〜」
にこにこしながら鈴木さんが言う。
…昨日の嫌がらせか?
「最悪〜」
まことは口を尖らせる。 好き嫌いが激しい奴だ!
まぁ私も行きたくないけど…
「お願いします〜美鈴さんとまことさんです」
うわっ有無も言わさず席につけやがった!
鈴木のアホ!
「初めまして〜」
「おー二人ともかわいいね〜」
うるせっ!酔っ払い!
「君達みたいな子と一緒に飲めるなんてついてるな〜」
「え〜じゃあ私達もいただいていいですかぁ?」
「いいよー飲め飲め〜」
あら?意外とケチではないわ。
「やったー」
「わあーい」
まこととはしゃぐ(フリをする)。
「おじさま優しい〜じゃあついでに指名くださぁい」
出た!まことの直球勝負!この人達はいけるのか?
「いいよ〜二人指名しちゃう」
やった!酔っ払いの為判断が鈍っている!
ナイスまこと!
「鈴木さーん私と美鈴、場内〜」
指名には本指名と場内指名がある。
店にその子目的で来る人は本指名。
話していて気に入ったら場内。
てな、具合だ。
本指名の方がバックがいいんだけど、場内が本指名に繋がるので大切なのだ。
「ありがとう〜後で名刺あげるね♪」
「番号とか乗ってる?」
「いつもは教えないけど、あなただけに特別に書いてあげる〜」
「うれしいな〜」
さわっ
ん?さりげなくこいつ触ってきたな。
やっぱり酔っ払いは質が悪い。