「本気の恋。はじめました。(上)」-2
「あっおつ!」
「おまえら今日は早あがっていいよ。ひまだし。」
「ありがとぅ山下さ〜ん」
まことは、きゃいきゃいはしゃぐ。
私はさっきの一言でだいぶやる気を無くした。
むかつく。
ならなんでこんな所で働く?
私を否定された様ですごく腹が立った。
ぴぴっ
『今日は楽しい夜をありがとうところで明日暇なら…』
ナツくんからだ。
いつもこんなメールばっか。
男なんてみんな大嫌いだ!
…………
ぷるるる
ぷるるる
「ん?…もしもし」
「美鈴〜起きた〜?三時だよ〜」
「うそっいつのまにか寝てた!ありがとう〜」
「昨日起こしてって言われたからかけたよ!ありがたく思え」
「感謝!まこと!今度なんかおごる!」
どうやら家に帰ってすぐ寝てしまったらしい…
早く支度して行かなきゃ…
「おはようございま〜す」「おはよー美鈴ちゃん」
店長の鈴木さんだ。
この人はいつもにこにこしてて優しい。
山下さんもこうなればいいのに…
どたたたたっ
「遅刻〜!いやセーフですか!?」
「まぁセーフにしとくよ」
すごい勢いで山下さんが入店。
噂をすれば…だわ。
「ほら〜ちゃっちゃっと働け〜」
「自分だって遅刻したでしょー?」
「キャバ嬢に休みなしっ」
よほど嫌いなのか?
まぁいいや。
私は着替え、待機席につく。
「いらっしゃいませ〜」
平日だってのに、さっそく客か。
「美鈴!新規の客だよ?しかも若い〜結構かっこいいじゃん!つきたいな〜」
「え〜?どれどれ…」
ガタッ
思わず席を立ってしまった。
だってあの若い集団の中に元カレがいたから。
キャバ嬢嫌いなんじゃないの?
なんでこの店に来たの?
「美鈴、まこと、ゆか、美裕、行こうか」
山下さんが呼ぶ。
いやだ……
「やったー美鈴いこー!」「やだ…」
「なんで?」
「やだよ…」
私はパニックになって控え室に逃げてしまった。