ギター弾きの失恋-2
その時、彼女の顔が浮かんだ。
『………っ……。』
あぁ…そうだ覚えている。彼女といた時は…なにもかもが光っていた…。光りを失ったからこんなにつらいのか…。彼女という光りがあったからこそ…俺はやっていけたのか…。
――暗闇の中は、俺の声、彼女の顔、ギターの音色しかない。それで十分だ――
曲はラストへと向かっていた。俺は情熱的に、声を吐き出すように…歌っていた。弦を震わせる手も激しく動かした。ラストへと紡ぐために。
―――♪………
歌い終わると同時にギターも弾き終わった。俺が初めて弾いた曲は確かにあの頃のままだった。必死になって練習したこの曲は俺とは違い…変わっていなかった。
『………?』
変わってしまったのは俺だよな。だから俺は今泣いているんだろう。この涙はなんの涙なのだろう?…いろんな感情が入り交じってる…。
別れのつらさの涙?
――きっとそう。
変わってしまった自分への涙?
――それも…きっとそう。
ギターは教えてくれた。今の俺の心の奥を。