fantasy ability・0‐皇希の過去‐-2
「もし、皇希‥‥君が私たちを憎むならそれでいい。私たちは覚悟している。もし、皇希が私たちを殺すと言うのなら、飽きるまで殺せ。私たちはどんな罰も受ける。」
そこで父親は一呼吸、置いた。そして、更に真剣な眼差し、真剣な顔になる。
「しかしだ、それでも私たちの子供で居てくれ!頼む!」
父親の目からは涙がこぼれ始めた。母親もだった。すると、子供の皇希は喋り始めた。
両親の体は一瞬、ビクッとする。
「それでも、僕はパパとママを憎んだり、殺したりしないよ。そして、僕はパパとママの子供で居たい。」
子供の皇希のこの一言で、両親は皇希に抱きついた。
「皇希!ありがとう!」
「皇、ありがとう!」
「痛い、痛いよ。」
この後、皇希の父・正嗣(まさつぐ)は更に人柄が変わったようで、超一流の社長になった。しかも、社員には優しく優秀と言われて、誰からも反感を買ってなかった。
又、母・愛那(あいな)は近所で一番優しき母になり、近所の纏め役となっていた。やはり、誰からも反感を買ってなかった。
この時、皇希の家は沢山の金をあったが、ボランティアや近所等に寄付していた。
その時の正嗣の一言がこうだった。
「人は金や権力などを持つと変わってしまう。しかしだ、私たちは皇希に誓った!決して変わらないと!」
正嗣のこの一言で、辺りは平和的だった。争い事があると、正嗣や愛那が解決しては、名誉を取っていたが、彼らはそれを一切、誇ってなかった。むしろ、当たり前と思っていた。
‐それから二年後、皇希七歳‐
この日は小学校への入学式だった。何かあると思いきや、何事もなく終わった。
しかし、一か月後に問題が起きた!それは、皇希の背中が原因だった。やはり、【真】という字が体育の時に、他のクラスメイトが気付いたのであった。
それの時、出逢ったのが荒神 仁(後に天神 織音)だった。
彼は皇希の机に書かれた落書きを見るといきなり、
「これを書いたのは、誰だ!?僕が殴ってやる!」
と言った。しかし、急に重くなった雰囲気になり、教室は皆無言となった。すると、皇希が喋った。
「もういいよ。えっと、‥‥?誰だって?」
「仁‥、荒神 仁だ!覚えとけ!」
「あはは、ごめんね。僕は物覚えが苦手なんだよ。‥‥ありがとう、もういいよ、仁くん。」
この日から皇希に対するイジメが日に日に無くなっていった。だが、皇希は仁以外の友達は居なかった。
しかし、皇希は仁との友情が完璧に芽生えていた。以来、よく遊び、よく喧嘩もしたがそれでも仲が良かった。
それから二年後、皇希はトラックにひかれそうになるが、その瞬間に皇希の体が一瞬だけ光ったように見えた。
その様子を見ていた仁は笑ったような顔になったと、他の証言者は言うが当の本人は、
「笑ってません!驚いていました。」
の一点張りだった。
結局、真相は解らなかった。