fantasy ability・9‐地界にさよならを、天界へと‐-1
‐国連重要人物室‐
「世界中の死者は?」
「約八十%を突破しました。」
「‥‥世界中の建物崩壊率は?」
「約九十%を突破しました。」
「そうか。‥‥‥人間って弱いねぇ〜。まっ、俺もだけどね。」
「私が居ます!」
そう言った彼女自身の顔が赤くなっていった。
「‥‥恥ずかしいなら、言わなくっていいのに。あはは。」
彼は笑いながら言った。そして、一呼吸いれて続けざまに喋る。
「でも、嬉しいよ。ありがとう。」
「い、いえ!」
彼は笑顔で彼女の様子を見ていた。
‐皇希自室‐
〈ドタン!〉
何かが倒れた音がした。もちろんそれは、皇希であった。
「ぐっ!はぁはぁ。」
何故か呼吸を乱していた。
〈ガラッ!〉
「皇!?」
織音が入ってきた。
「はぁはぁ、だ、大丈夫だ。」
「嘘よ!こんなに体熱いじゃない!」
「ふぅ、大丈夫だ!」
皇希は自力で立ち上がり、織音から離れた。
「大丈夫そうだな。」
「ええ。」
「えっ?」
織音が後ろを振り向く。そこには、司義莉と凰輝が立っていた。
「織音、悪いが席を外してくれ。」
「‥‥なんでですか?お父様?」
突然の一言に織音は司義莉を睨む。
「頼む。」
「‥‥‥解りました。居なければいいのでしょう?」
〈スタスタ‥バン!〉
織音は怒りながら出ていった。
「嫌われたかな?」
「少し、です。」
「司義莉様、親バカですか?」
「うるさい!」
「すみません。」
「‥‥‥」
すると、重い雰囲気が辺りを包み込む。全員が真剣になった。
「皇希君?今更だけど覚悟は十分だよね?」
「はい。」
「なら、私が言いたい事は解るよね。」
「ええ。」
「君は覚醒していると言っても、まだ体は人間のままなのだよ。」
「知ってます。司義莉さん。」
「うん。凰輝から聞いたはずだけど、更なる“覚醒”が必要だ。」
「‥‥‥」
「その為には君自身が天界に行き、“記憶の欠片”を手に入れないといけない。解るね?」
「はい。」
「よし。‥‥凰輝。」
「はい。」
と、凰輝は扉を開いた瞬間、
「わっ!‥‥うっ!」
〈バタン!〉
織音が居た。全員して織音を睨む。