「僕の事情」-4
「しんちゃんおかえり〜今日はもう出かけないの?」「後ひとつ行く所があるんだ」
「そう。早く帰ってきなさいよ〜」
アノオンナハモウダメダ
僕は荷物を持ってあけみの家に向かった…
待っててね…愛しい人…
……あけみの家はシーンとしていた。
まだ帰ってないのかな…
鍵は開いていた。
あけみの部屋は二階だ。
階段をあがる。
………いた。
電気もつけないで。
あの場から逃げ出してきたんだね。
「今、あの店はどうなってるんだろうね」
「だれ!?」
「きっと大騒ぎになってるね」
僕に気付いたらしい。
すごい形相をしてる…
せっかくの可愛い顔が台無しだよ?
「逃げてきちゃったの?いいよあんな男ほっといて」「誰よぉっ!」
僕は電気をつけてあげた。これで怯える必要はないでしょ?
「あっあんた…」
「僕に黙って君が他の男と会うからだよ」
「まさか…あんたが…」
ねぇ
なんでまだ震えているの?僕がそばにいるのに
ねぇ
なんで笑ってくれないの?邪魔な奴はもういないのに。
「電話もメールもくれなくて淋しかったよ。いつも見てるのに気付いてないふりばかり」
「こっこないでっ!」
「いつもいつも君を思っているのに…でも君は僕を裏切った」
「お願い…やめて」
「ところで…まだ生理?」「え?」
「血が少しくらい出ても生理ならわかんないよね?
アハハハハハハ」
ザクッ
ざくざくざくざくざくっ
サヨウナラ…イトシイヒト……
僕は持ってきたキャリーバックにあけみを詰めて家路についた。