fantasy ability・8‐ただ、終わらせる為に、“チカラ”を求めて‥‥‐-8
「僕だってやるんだ!」
男の子も構える。竹刀は皇希に貰った剣の長さだった。そして、驚いた事に皇希と同じく自然体だった。
「何のつもりかしら?」
「これでいいの!」
この状況に織音は少し困っていたが、何故かその様子を見ていた皇希は少し笑っているように見えた。
皇希と中学生の戦い同様に二人は動かなかった。
「はぁ‥‥、はぁ‥‥くっ!」
しかも、事もあろうか織音の方が動揺していた!
《なんでなの!?まるで皇と戦っているみたいなこの緊張感は?》
すると、織音の顔に汗が流れてきた。一方、男の子は意外と余裕で立っていた。
「いくよ〜。」
すると、男の子の方が攻めてきた!しかも、子供特有の素早さが更に追い討ちを掛けた!
「くっ!」
〈バシン!バシン!〉
二刀流の織音が押されていた。男の子は小さい竹刀だが、その特徴を生かした攻撃なので織音は防ぐだけだった。
「どうしたの?前に皇希兄ちゃんをたおしたんでしょう?」
男の子が聞く。
「くっ!‥‥本気でいくわ!二刀線輪!追突円断(ついとつえんだん)!!」
織音は左手の竹刀で男の子の腹を突き、後ろへと飛ばした!その攻撃で男の子はそれだけで気を失った。
しかし、織音は攻撃を止めようとせずにすかさず、後ろへと回って右手の竹刀で男の子の頭を叩き斬ろうとした!
〈バシンッ!!〉
体育館に大きな音が鳴り響いた!
「ふぅ、危ないなぁ。この子を殺す気か?‥‥織音?」
間一髪の所で皇希は子供を抱きしめ、左手の竹刀で織音の攻撃を止めた。
「‥‥はっ、私は!!」
なんと織音は、我を忘れて攻撃していたらしい。
「おいおい、怖いな。」
「こ、怖いのはどっちよ!?その子、まるで‥」
「俺みたいだろ?」
「!!」
「いやな、少しばかし俺の武術を教えてあげたら、こうなったんだよ。」
皇希は苦笑しながら、子供を見ながら言った。
「なんで!?教えてあげたのよ?」
「悪い悪い。あの後、この子は死に物狂いで素振りしていたらな、ついな。軽めのつもりでな。」
「〜〜〜〜!!!」
「すまないな。」
「もう!まぁ、いいわ。‥‥それにしても、強かったわね。」
「まぁな。俺と同じなんだろうな。」
「どういう意味?」
「ん?いや、気にするな。さてと、素振り再開といくか。」
「あ、ついでに私もやっておこう。」
その後、皇希と織音、子供たちは素振りを再開させた。数時間後、あの時の男の子が保健室にて目覚めた。