fantasy ability・8‐ただ、終わらせる為に、“チカラ”を求めて‥‥‐-7
「あ〜、わかった、わかったわよ。」
「サンキュー。助かったよ。」
こうして皇希VS中学生、織音VS男の子の試合が始まった。
‐皇希VS中学生‐
試合は剣道と同じような事だった。もちろん、皇希も竹刀である。皇希と中学生は間合いをとる。
「‥‥真面目にやってください!」
「‥‥これが俺の構えだぜ?」
中学生は典型的な剣道も構えだった。それもそのはずである、実はこの子は剣道の日本全国中学生大会で一位、二位の腕を持っていた。
対する皇希は真面目なのかわからないが、自然体で立っていた。又、竹刀も片手で持っていた。
互いに動かなかった。いや、中学生は動けなかったのである。どこに動いてやられると感じ取っていたのだろう。
〈ピシャッン〉
水道の雫がこぼれた音で二人は動いた。勝負は一瞬だった。中学生は方膝を地に着き、竹刀を捨て片手で脇腹を抑えていた。対して皇希は余裕で立っていた。
「くっ、参りました。」
「ふぅ、まだまだだな。でも、瞬発力と判断力はいい。」
「はい、ありがとうございます!」
「しかしだ、君は“何の為”に“チカラ”を求めている?」
「そ、それは‥‥‥」
「なら考えといた方が良い。それは、いつか君に“力”を与える。因みに俺はあるが、ここでは言わない。」
この時、皇希はチラッと織音を見たとか見てないとか‥‥‥
‐五分後、織音VS男の子‐
やはり二人とも間合いをとる。もちろん、織音は竹刀二刀流。対する皇希に助けられた男の子は竹刀一本であった。
「私も一本の方がいいかしら?」
「やだ!本気じゃなきゃたたかいたくない!」
「そう?レベル高いわよ?」
「やる!」
《あらあら、まるで昔の皇みたいね♪》
織音はこの状況をどうやら皇希相手にあったらしい。
《あの頃はまだ幻想具現化が覚醒した後で、よくまぁ私に挑んだわね〜。》
「あのぅ?」
男の子は織音が過去に浸っている事を知っているのかいないのかわからないが、とりあえず無言だったのでとうとう喋った。
「はっ!ごめんね。‥‥いいわよ?どこからでも来なさい?」
織音はそう言って、左手を胸の前に出し竹刀先端が上に立て、右手は右側の腰のままで竹刀先端が後ろ側になるように構えた。どうやら、彼女の構えはこれらしい。