fantasy ability・8‐ただ、終わらせる為に、“チカラ”を求めて‥‥‐-6
‐時は戻り、現在‐
皇希は保健室に入っていく。すると、先ほど襲われていた男性が看護師の手によって手当てをしていた。
「はい、これで終わりです。」
「ありがとうございます。では。」
ちょうど今、手当てが終わったらしい。男性は立ち上がり反対を向くと、皇希と目があった。
「あ、先ほどはありがとうございます。」
「いえいえ。傷は大丈夫ですか?」
「ええ、この通りかすり傷だけです。」
そう言って右手と左足のかすり傷を皇希に見せた。確かに、それ以外はどこも傷は無い。
「そうですか。この後、やる事があるので失礼します。それから、俺に対してはタメ語で構いませんよ。では。」
皇希はそう言い残し去っていく。男性は看護師に何か聞き始めた。
「彼は何者ですか?」
「あの子が噂になっている子ですよ。彼が、山崎 皇希です。」
「えっ!?じゃあ、彼が一人でここや世界中にある結界を張った人ですか?」
「そうです。もし、ここに彼が居なかったら、今頃はどうなっている事だかっと言ってもいい程です。」
「‥‥‥」
「彼は凄いですよ。この後、日課の素振りをするのでしょう。」
男性は口を開けたまま聞いていた。看護師はこの状況をクスクスと笑いながら話していた。
‐体育館‐
皇希は素振りをやっていた。しかも、横で子供たちも竹刀でやっていた。あの時の子もいた。
「‥‥‥すいません、皇希さん。対戦してくれませんか?」
中学生の男の子が言ってきた。皇希は少し考えたが、
「わかった、いいよ。」
と、対戦を受けた。
『ずるい〜、俺(僕)もやる!!』
その場の子供たちも、一斉に名乗り出た。
「待て待て、彼は真面目にやっていたから、その実力を認めて対戦するだけだ。」
「え〜、僕だって真面目だよ。」
あの時の子供も言った。皇希ははぁーと、溜め息を吐いた。
「皇?ここにいるの?」
狙ったかのように織音がやってきた。
「‥‥‥」
皇希は無言で肩を叩いてた。織音は雰囲気でなんとなくわかったのか、逃げようした。しかし、皇希に腕を掴まれたので出来なかった。
「頼む。」
「やだ。」
「‥‥頼むから。」
「‥‥やだ、嫌。」
「‥‥‥」
「‥‥‥」
皇希はまた無言で見つめた。織音は顔を出口へと向けた。
しばらく沈黙
数分後、織音は観念した喋った。