fantasy ability・8‐ただ、終わらせる為に、“チカラ”を求めて‥‥‐-5
「‥‥‥お前か。何しに来た?」
「お前を殺しに来たが、不服か?」
「そうか。その割りには、周りの奴らは何だ?」
「お前だけでよかったのだが、それじゃあ、カオス様に怒られるからな。ついでに、他の人間や“神”もなって、思ってな。」
「そうか。なら、終わらせてやるよ。‥‥神聖たる風の光よ!混沌たる風の闇よ!敵を捲き込み刻め!スパイラル・ヘブン・アンド・アース・ブレス!!」
すると、一つの風が辺りにいた手下たちに襲いかかり、次々と手下だけを切り刻み、大量の血が壁や地面に飛び散り、全手下が霧になり消えていった。
「なんだと!」
「本当は結界を張ってからやるつもりだったが、仕方ないからな。」
「ちっ!‥‥覚えていろよ!」
〈シュン!〉
誑笥は消えていった。結局、何もせずに帰っていった‥‥。
すると、先ほどの親子が近寄って来た。
「あのぅ、‥‥さ、先ほどはありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
母親の後に子供がお辞儀をした。
「いえいえ、同然の事をしただけですよ。」
皇希は両手を前に出し、横に振りながら言う。と、子供が喋る。
「ねぇ、どうやったらそんなふうにかっこよくなれるの?」
「うーん、‥‥諦めずに努力する事だね。」
「ホントウに?」
「ああ。君も諦めなかったら、母さんを守れるようになるかもね。」
「ホントウ?どうすればいいの?」
「この剣を毎日、素振りする事は出来るかな?」
皇希は腰にあった予備の全長十センチ程度の小刀を子供に渡した。
「うわぁ!重いや。」
それもそうである。幾(いく)ら小さいと言っても、六、七歳の子供にとっては重いに決まっていた。
「じゃあ、‥‥諦めるかい?」
皇希はたま〜に見せる笑顔で言った。
「ううん、やってみるよ。これで母さんを守るんだ!」
子供は張り切っていた。ヤル気満々のようだ。
「じゃあ、それを君にプレゼントするよ。」
「わぁい、ありがとう。お兄ちゃん。」
「では、これで失礼します。」
「はい。」
この後、皇希は学校に張られた結界を張り直した。そして、この事をキッカケに徐々に人気者へとなっていった。