You're my sunshine-3
そういえば…
「未智は好きな人いるの?」
そう言うと、彼は困ったように笑い、内緒と言った。
もちろんそれで私が引き下がる訳も無く、ねー教えてー、と食い下がったが、彼はダメの一点張りで、教えてくれなかった。
なので、私は仕方なく別の方法に移った。
「うーんと… 。そうだ、分かった! 隣のクラスの柏木さんでしょ?」
当たり?
ちょっぴりワクワクしながら未智を見ると、悲痛な顔をしていた。
「…未「誰だろうね?」
未智の名前を呼び終わる前に、私の声は未智の声に遮られ、未智は悲しそうな笑顔を見せた。
その瞬間、私の心臓は、誰かにギュッと掴まれたかの様に痛んだ。
…… これは何?
私は、この謎の気持ちに一瞬首を傾げたが、気付かないふりをして、言葉を繋げた。
「もし、未智に彼女ができたら寂しくなるね」
そう言うと、彼は刹那驚いた顔をしたが、すぐににっこりと笑った。
「そうだね、俺も名雪に彼氏ができたら寂しくなる」
今度は私が驚かされる番だ。そんな事を言われるだなんて、ちっとも想定してなかった。
嬉しくて、恥ずかしくて、くすぐったくて、思わずえへへっと笑みが零れる。
「私達、最高の親友だね」
嬉しくてそう言うと、未智は、もちろんと言った。
「さて、そろそろ帰ろうか」
未智はそう言って、鞄を持って立ち上がり、私の頭をわしゃわしゃと撫で回した。
ぐちゃぐちゃに乱れた髪を直し、私は彼の腕を、もう、と言いながら叩き、ぷんぷんと怒りながら鞄を掴んだ。
そんな私を見て、未智はくすくすと声を抑えて笑っている。
未智を置いて、私はずんずんと教室のドアへ向かった。
「……」
笑い声が止み、背後から聞こえた声に振り返る。
「え、何?」
よく聞こえなかったので聞き返すと、何でもないよの一言。
未智はへらっと笑っている。
?
未智は、不思議そうな顔をしてドアの所に突っ立ったままの私の所に来て、ぽんぽんと頭を叩いた。
「ほら、さっさと帰ろう。家まで送ってくから」
「うん。ありがとう!」
「いえいえ」
上手くごまかされた気がしたが、敢えて聞かないことにした。
そうしなくちゃいけない気がした。