You're my sunshine-2
泣いてたのか?
そう言いながら、未智は、大きくて暖かい手を私の頬に添えて、その手でゆっくりと私の瞼を親指で拭った。
私は素直にそれを受け入れながら、本当に何でもないの、と小さな声で言ったが、未智の手が温かすぎて声が震えてしまった。
「何でもなくないだろ。ほら、話してご覧。全部聞いてあげるから」
小さな子供をあやすように、ぽんぽんと頭を撫でられた。
未智の手は不思議…こんなにも私を安心させる。
そして、ズルイ私は、また未智に甘えてしまうの。
「未智には隠し事出来ないね」
苦笑いをして未智を見ると、柔らかく微笑む顔がそこにはあった。
その顔を見た途端、先程治まった感情が再び溢れ出した。
「あのね……、告白されたの………でもね、でも、…わ、私ね……『好き』て…よくわからないの…。だから、断ったの…」
途切れ途切れの拙い私の話しを、うんうんと頷きながら聞いてくれる未智。
時々、チラッと顔を上げると、優しい表情で見守ってくれている彼と目が合い、ふんわり微笑んでくれる。
…… ねぇ、未智。
「友達の『好き』と恋の『好き』は何が違うの?どこからが恋なの?わからないよ……。私は変なのかな…?」
うーん。
未智は少し考え、ピッと人差し指を起てた右手を、ズイッと前に突き出した。
「その人の傍にいて、守ってあげたい、一緒に歩いていきたい。泣きたい時には泣かせてやりたいし、笑っていたら一緒に笑いたい。それから、二人でいるだけで幸せな気持ちになれる」
突然何を言い出したのか分からず、キョトンとする私に、未智はにっこり微笑み、俺の『好き』はそんな感じかなと言った。
「きっと、『好き』の境界線は人によって違うんだよ。この世に同じ人がいないみたいにさ」
未智はそう言うと、もう一度ぽんぽんと私の頭を撫でた。
「そんなに焦らなくていい。人それぞれ自分のペースってやつがあるんだし。名雪は変じゃない。大丈夫、いつか名雪の『好き』が分かる」
なっ、と未智は少し首を傾げながらふんわり微笑んだ。
未智の言葉は不思議。
彼が言うと、ふっと心が軽くなって、安心する。
未智は優しいね。
未智と一緒に居ると、ぽかぽか日だまりの下にいるみたいだよ。
未智みたいな人が彼氏だったら、きっと幸せだろう。
未智みたいな人を好きになれたらいいな。