きみのとなりへD-2
「遊びにって、どこに?」
「ん〜、今考えてんのは海かな?」
「海?!こんな時間に?」
「花火とかしたら楽しそうやん。」
「あ〜確かに!でも二人で?!」
「あほぅ、そんなん全然楽しくないやろーが!」
確かに…
「女の子と行きたいだろう!?」
「へ?」
「沙癒ちゃんと行きたいだろう!?」
「ええっ?!」
誠二はニヤリと笑って、向こうに立ってる女の子に向かってこっちこっちした。あの子、誰だ?!
「こちら、沙癒ちゃんといつも一緒にライブに来てる薫ちゃん。」
「はじめまして〜!」
「あ、はじめまして。」
僕は戸惑いながら一応挨拶した。展開についていけない…。
「沙癒ちゃんのバイトが終わったら、薫ちゃんの車で海に行くのです!」
「行くのです!」
なんだぁ?妙に仲良いなぁ…。二人ともニヤニヤしてるし。
「ちなみに、沙癒ちゃんへのアポは一平の携帯からさせていただきました!」
んえぇ?!はっ!そういえばさっき誠二が僕の携帯を…やられたぁぁぁ。
「沙癒はオッケェだって。沙癒のバイトが終わるまで、向かいのマックで待ってよ!」
薫ちゃんの提案に乗って、3人でマックに行った。
沙癒ちゃんのバイトが終わる時間になったから、3人でコンビニの前で待ち伏せした。バイトを終えて出てきた沙癒ちゃんはかなりビックリしてた!そりゃあ驚くだろう。でも、沙癒ちゃんに近づくチャンスだ!なかなか強引だったけど、誠二に感謝しなきゃな。
それから4人で薫ちゃんの車に乗って、途中でいろいろ買い物して海に行った。
今年の夏、何度か行った海。でも夜に来るのは初めてだった。
沙癒ちゃんも薫ちゃんもかなりビビりあがってる。でも本当に暗くて、そして引きずり込まれそうな感じがした。
花火を始めようとしたら、誠二のアホがマッチもライターも買ってなかった。まったく…。まぁ、任せっきりにしてた僕も悪いけど。
「俺買ってくる。」
「じゃあ私車出すね。二人とも花火袋から出しよって〜」
そう言って誠二と薫ちゃんは颯爽といなくなってしまった。
絶対あの2人わざとだ…。策略家め…。でも沙癒ちゃんと2人っきり…仲を深めるチャンス?だけど緊張してきた…どうしよう。
僕が顔を上げると、海がユラユラうねっていた。