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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

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ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-51

「……あ…でも、圭介ってケイの時に更衣室であたしの裸を見てるんだよね……」
その言葉に圭介は気まずい表情になり、香織はジト目で睨むのだった。
「ご、ごめんっ!! あれは不可抗力だったんだ!」
必死に頭を下げ謝る圭介を見ていた香織は何かを思い付いたらしく途端にニヤニヤし始めた。
「じゃあ、圭介くんには責任をとってもらおうかしらねぇ」
その言葉を聞いて頭を上げた圭介は香織の顔を見てギョッとしたのだ。
その表情はまさに奈津子が圭介に無理難題を言う時の楽しそうな表情であったのだ。
「じゃあ、圭介はこれからもケイとしてモデルを続ける! そ・れ・か・ら、ちゃんとあたしの彼氏らしく香織って呼ぶこと。まあ、今思い付いたのはこれくらいだけど、圭介次第ではまだ増えるかもよ?」
ケラケラ笑う香織に将来、奈津子みたいにならないで欲しいなぁと切実に願いながらため息をつく圭介だった。
そんな圭介の姿を見ていた香織は更なる要求を圭介に出した。
「圭介、最初のお願いなんだけど聞いてもらえる?」
意気消沈していた圭介が香織を見るとその様子はなぜか恥ずかしそうで、顔を赤くしながら指をモジモジさせていた。
「…で、お願いって?」
圭介の問いかけで更に顔を赤くさせた香織はポツリと呟いた。
「…………キスして……」
それは香織らしからぬほとんど聞こえないような声だった。
顔を真っ赤にして俯く香織に圭介はクスッと笑うとその頬に手を当てて顔を上げさせると、香織の唇にとても優しくキスをしたのだった。

あれから数週間後……。
 
「ねえ、香織! なんで私達こんなとこにいるの?」
「そりゃあ、仕事だからでしょ」
香織がケイの手を引っ張りながら微笑む。
ちなみに今日は天下御免のクリスマス・イヴである。
圭介扮するケイは今日くらいは香織とゆっくり過ごすつもりだったが、毎度お馴染みの奈津子による突発的な仕事で二人して野外ロケに駆り出されたのである。
「あーっ、もうっ! こんなに注目集めちゃってどうすんの」
「まあまあ、気にしない気にしない」
愚痴るケイを香織が宥める姿を見ていた奈津子と友美が楽しそうにしていた。
「まあ、こんなのもありかね」
「そうですね、先輩」
ライトアップされた街並みを楽しそうに歩く着飾ったケイと香織はこれでもかってくらいに人目を集めたのだ。
「あーあ、今日の撮影は何時に終わるのやら…」
「そんなに愚痴らないの。この仕事が終わったら二人で……ねっ…」
香織はそう言うとケイにウインクをしてみせた。
しょうがないけど、こんなのもありかなと思いながら笑顔でクリスマスのイルミネーションで彩られた街を香織と歩く圭介だった。


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