投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)
【コメディ 恋愛小説】

ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)の最初へ ケイと圭介の事情(リレー完全編集版) 49 ケイと圭介の事情(リレー完全編集版) 51 ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)の最後へ

ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)-50

「……どうしてそれを?」
自分のカツラを手にしたケイが自分の携帯を香織が持っていることに驚きを隠せないでいた。
「昨日、ケイが急な仕事で奈津子さんに引っ張られていった時に落としたのをあたしが拾ったの」
香織は真剣な表情でじっと圭介の顔を見つめた。
「……じゃあ…」
「あ、安心して、中のデータは見てないから。でも、着信があった時、ケイが携帯を落としたのに気付いたのかなと思って着信を見ちゃったのは謝るわね」
香織は素直に頭を下げ謝った。
「朱鷺塚……」
「ケイ……やっぱり、なんだよね…」
「…うん」
香織の言葉に圭介は頷くとはっきりとした口調でケイとしてではなく圭介として香織に自分の思いを伝えたのだ。
「今まで隠しててごめん。俺…」
「いいよ…ケイと圭介が同一人物ってわかった時は驚いたけど、でもこれで私も決心がついたわ」
すると香織は笑顔を見せ圭介の手を握った。
「あたし、ケイの親友になってそれと同時に圭介の彼女になる!!」
圭介の手を握っている手に力を入れて香織が宣言したのだった。
あまりの突然な香織の宣言に思わず言葉を失くした圭介だったが我に返ると同時に苦笑した。
「あのさ、朱鷺塚ってなんか本当に極端なやつなんだなぁ」
「ポジティブって言って欲しいわね。それに相沢がケイになったきっかけも何となぁくだけど想像ついたしねぇ」
香織の言葉に圭介は思わずため息をついた。
まあ、ケイの身近にあの奈津子がいれば大体のことは想像がつくのだろう。
しかし、圭介にとって、なぜ香織が自分を好きになったのかがわからなかった。
「なんであたしが相沢の彼女になるって言ったのかわからないって顔してるわね」
してやったりといった顔をする香織はそのわけを話し始めた。
「まあ、もともと相沢は智香との縁でそれなりに知ってたわけよね。それに、あたしの大好きなケイは奈津子さんと学園祭をきっかけにして更に好きになっちゃったわけ…」
ケイとの出来事を思い出したのか、香織の顔は穏やかな笑顔になり頬を朱に染めていた。
「それから、相沢とは学園祭の準備の時になんでか気になりだしたのよ。でも、今考えれば当たり前なのかもね、だってあたしが大好きなケイと相沢は同じ人なんだもん。だったら、クラスメイトの相沢圭介と人気モデルのケイも一緒に好きになっちゃおうって思ったの」
香織はいたずらっ子のように微笑みながら「相沢はあたしが彼女じゃダメ?」と聞いてきた。
「そ、そんなことあるはずない! 逆に朱鷺塚は俺でいいのかって思ったくらいだよ」
慌てる圭介に香織は「ありがとう」と呟いた。
「でも、朱鷺塚にそう言われるとは夢にも思わなかったよ」
「そりゃあ、私だってそうよ。そもそもケイと相沢が同じ人なんて思わなかったんだから」
明るく笑う香織を見ていた圭介は自分が一番肝心な言葉を伝えていないことに気付き、一度深呼吸をすると香織を見つめた。
「…あのさ、朱鷺塚……さっき、朱鷺塚から俺の彼女になるって聞いたけど、俺からまだ何も言ってなかったから今、言うよ…」
この状況で、ただでさえ心臓がドキドキして顔も赤くなっているのにこれから香織に告白することを考えるとどうにかなりそうな圭介だったが、意を決すると香織に自分の気持ちを伝えたのだ。
「朱鷺塚っ…こんな俺だけど付き合ってくれないか。俺は朱鷺塚のことが好きなんだ」
圭介の言葉に香織は目をパチクリさせると満面の笑顔で「うん!」と頷いた。
「好きになり始めた男の子と大好きな女の子を同時に手に入れた感じってこんなに嬉しいのかな……あ、でも、圭介のこともケイと同じくらい好きになるから安心してね」
楽しそうに話す香織の目には微かに涙が浮かんでいたのだった。
さすがの圭介もその涙の意味は誰に言われずとも理解した。


ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)の最初へ ケイと圭介の事情(リレー完全編集版) 49 ケイと圭介の事情(リレー完全編集版) 51 ケイと圭介の事情(リレー完全編集版)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前