俺と俺様な彼女 〜9〜-1
ピリリリ
「ん?先輩からか。」
『ごめん。今日風邪引いて学校休んだから一緒に帰れない。』
「おいおい、まじかよ。」
「どうしたんだ?先輩何て?」
「ほれ。」
「…絵文字も顔文字も無いんだな。」
「もう慣れたよ。」
「でも月宮先輩が風邪とはねぇ。」
「風邪の菌ですら消化して栄養にしてそうなのにな。」
「殺されるよ、お前。」
「バレなきゃ大丈夫だよ。」
「でも、チャンスじゃねーか。」
「あん?」
「風邪引いてるってことは普段よりも弱気ってことだろ?」
「・・・」
「ここで見舞いに行けば普段は見れない先輩が。」
「見れるっつーわけか。」
「『お願い、傍に居て』とか言ってくれるかもよ。」
「うぉっしゃーー!!風邪君ナーイス!!」
〜風邪君強すぎ〜
ピンポーン
「は〜い?」
「あ、谷岡数馬です。その、先輩の様子を見に。」
「あら、数馬君?ちょっと待ってね。」
がちゃっ
「こんにちは。保奈美の誕生日以来ね。」
「あの時はどうもご馳走様でした。」
「いえいえ。ささ、入って入って。」
「お邪魔しま〜す。」
「ごめんね〜。わざわざ来てもらって。あの子もいい彼氏持ったわね〜。」
ごめんなさいお母様。半分は先輩を思ってですがもう半分は下心です。
「保奈美なら自分の部屋に居るから。」
「あ、はい。失礼します。」
もう少しで土下座しそうになるのを堪えて俺は二階にあがった。
コンコン
「・・・お母さん?」
声小さいな。思ったより重症なのかな。
「いえ、数馬です。」
「数馬!?何で!?」
「ちょっと様子を見に。」
「え、あ、ちょっ。」
「開けますよ〜。」
「ま、待って。」
がちゃ ・・・目の前にはでっかい茶色の物体。
「がはぁ!!」
「待ってって言ったでしょ!!」 ばたん!!
は、鼻が・・・涙目で隣を見ると熊のぬいぐるみ。これが俺の顔面にぶつかったのか。てかおかしいよ。なんで綿の塊であんな破壊力がでんだよ。先輩風邪引いてんじゃねーの?風邪引いてこの威力なら普段だったら首もげるよ、軽く。
「いいわ。入って。」
「お邪魔しま〜す。」
部屋の中はいつも通り。先輩は寝ている。何で入んのが駄目だったんだ?
「先輩、風邪大丈夫ですか?」
「あんまり大丈夫じゃないわ。まだ熱もあるし。」
「よく言いますよ。ぬいぐるみで俺を殺そうとしたくせに。」
「あれは数馬が勝手に入ってくるからよ。」
「なんで駄目だったんすか?おとなしく寝てたんでしょ?」
「…髪とかぼさぼさだったから。」
「…あのね、先輩。先輩は病人なの。だから髪がぼさぼさでも当然なの。」
「…なんか今日はいつもよりも強気ね。」
「先輩は病人ですからね。そうなっても普通ですよ。アイスとりんご持ってきたんですけど、食べますか?」
「ありがと。アイスもらうわ。」
「起きれますか?」
「それぐらいは大丈夫よ。」
おわ、先輩パジャマじゃん。あ〜、癒される
「きもいわね。あんまりじろじろ見ないでよ。」
わけねーか。甘かった。だが今日の俺は一味違うぜ、先輩。