Trance-2
「誰だい、君は?」
自分の身に置かれた状況がはっきり把握できず、咄嗟にそう呟くと
「夢から夢の放浪者だよ」
夢から夢の放浪者?
なんて非現実なことをいってるんだ、この子は
「名前は?君はいったい何者かね?」
「名前?そんなものないよ。僕はアンタの夢を奪いにきた使いなんだよ」
夢を奪いにきた?
今私が見てるこの夢をか?
「アンタの夢を見たがってる人がいるんだ」
少年はニカッと白い歯を見せて言った
「私の夢をか?いったい誰に見せるんだい?」
「それは言えないな。けど、アンタの大丈夫な人なんだ」
アンタノダイジナヒトー…
思いあたるヒトがいる
誰だったか…ー思いだせない
甘い甘いヒト
確か…ー栗色の髪で
大きな瞳
「っと。じゃ、そういうコトでいいよね」
「僕はアンタがそういう顔してたら、またすぐ来ちゃうから」
「…?」
「Sweet dreams」
そういうと、少年は姿を消した
ー…Sweet dreams
よい夢を…か
その後たちまち私の意識は薄れていった