クチビル-1
いつも
目線の先にある君の唇が
今日は
少し下がった位置にある
「黒板、見える?」
昨日の
あみだくじで決めた席替え
前には
君のセットされた茶色の髪
「大丈夫、見える。」
本当は
隙間から見ないと見えないけど
「そ、良かった。」
そう言って
微笑む君は隣の子と話し始める
形の良い唇が
色んな表情と共に変化する
くるくると
笑ってすねて笑って………
いつも
目線の先にある君の唇が
今日は
君の形の良い一重の目で
いつも
目線の先にある君の唇が
今日は
あたしの唇の先にあった
いつか
君の唇があたしの唇と
重なる日は来るんだろうか
君の指が
あたしの唇に触れる
そんな日は来るんだろうか
●end●