君との温度差-1
季節は、冬。
寒い寒い日に起きた、とてもとても…温かいできごと―――
【君との温度差】
いつも通りの夕方。
学校からの帰り道。
いつもの通り寒い空気の中、私……白川 香波[シラカワ コナミ]は、いつも通りコートを着て、いつも通り……恋人と歩く。
―――折井 岳斗[オリイ ガクト]と歩く。
ただ、いつもと違うことと言えば、私が手袋を忘れたことくらいか…
「…寒い」
私のコートにはポケットがついていないから、どうしようもなくて…とりあえず呟いてみる。
「そりゃそうだろ、冬なんだからよ」
岳斗から、もっともな返事が返ってくる。
そりゃまぁ、そうなんだけど…
「だって〜…寒いんだもん。なんで岳斗は、平気なのよ…」
「別に平気じゃねぇって…
香波だけじゃなくて、俺だって寒い」
私の抗議は、あっさりと一蹴される。
「だいたい、お前が手袋忘れんのが悪ぃんだろうが」
「そうなんだけど〜」
岳斗は、基本的に冷たい…というか、無愛想だ。それは、付き合う前も付き合ってからも、大して変わらなくて…
だから、たまに…愛されてないんじゃないか、とか思うことがある。
「ふ〜んだっ!!もう、ほっといてくださ〜い。どうせ私が悪いんですよっ」
でも…
「おいっ、香波」
そうじゃないことも、私が一番良く知ってる。
「ほっとけるわけないだろうが!ほらっ、手…貸せよ」
突然の言葉に、立ち止まる。
岳斗は、回り込むようにして…私の前に立った。
強引に奪い去るように、私の手を掴み取る。
無愛想な、彼なりの優しさ。