君との温度差-3
いつも通りの夕方。
いつもの通り寒くて、いつも通りコートを着て、いつも通り……岳斗と歩く。
ただ、いつもと違うことと言えば、私と岳斗の温度差が…少しずつ縮まっていることか…
私は、彼の赤く染まった顔を盗み見た。
「ふふっ」
少しだけほほ笑んで…
“タタッ”
小走りに、彼の隣りへと並ぶ。
岳斗は、冷たくて無愛想で、不機嫌そうに見えるけど…
実はそうじゃないことを、私は良く知っている。私が、1番よく知っている。
私の彼氏、折井 岳斗は…とても照れ屋なだけなのだ、と。
だって、言葉ではなにも言ってくれなくても…
繋いだ手を…優しくそっと、コートのポケットに入れて、繋ぎ直してくれるから。
…ねぇ、岳斗。
これからも、不安になることはあると思うけど、大丈夫だよね?
岳斗がこうして、温めてくれるから。
だから…今日、手袋を忘れたのは、わざとだってこと…気付かないでいてね?
Fin.