君との温度差-2
「うわっ、冷てぇ」
そう言いながら、私の両手を握って、温めてくれる。
彼の手は温かくて、冷たすぎる私とは…温度差がありすぎた。
その温度差は、岳斗との距離にも思えて…
少しだけ寂しくなったりして…
「少しは、温まっただろ?」
1分間くらい…岳斗は、私の手を温めてくれた。
そして、その言葉と同時に、右手が…岳斗の左手が離される。
空気に触れた手は、岳斗の温かさをすぐに奪い去り、もうすでに指先は冷たくなり始めていた。
「うん…ありがと」
きっと、左手もすぐに離れていく。
また、冷たくなって、寒くなる…岳斗との距離が…また、少しだけ離れてしまう。
「じゃぁ、行くか」
その言葉と同時に、私の手から…温もりが奪い去られ―――
なかった。
岳斗は、しっかりと私の左手を自分の右手で握ったまま、歩きだした。
「ふぇ?」
必然的に、引っ張られるような形になりながら、私は何とも間抜けな声を出す。
「あぁ?…離したら、また冷えちまうだろうが」
それに、岳斗が不機嫌そうに答える。
「香波が風邪引いたりなんかしたら、俺が困るんだよ」
でも、私は知っている。
彼が、怒っているわけでも、不機嫌なわけでもないことを…