白い幸福-3
適当についてるテレビを眺めながら私はつぶやくように言った。
「平凡だなぁ」
「だな」
「何か…刺激がほしい」
「何、ヤりたいの?」
「もうっ!そうじゃなくて…!」
ははっと笑う理一は頬にえくぼをつくる。
理一は笑いながらちょっと怒る私が好きらしい。
一見クールそうでかっこいい理一は笑うとえくぼが出来て可愛い。
しばらくまたテレビと秒針とストーブの音が響きわたる。
すると今度は理一がつぶやくように口を開いた。
「なぁー乃衣」
「ん?」
「やっぱり鍋が食いたい」
「うん」
理一はリモコンに手を伸ばしてテレビの電源を切った。
「…一緒に買いに行く?」
「…………行く!」
私は理一がくれたマフラーをして、理一は私があげたマフラーをして外へ出る。
「あ、雪降ってきた」
「本当だ〜」
舞い降りてくる白い雪は私と彼の手を繋げてくれる。「寒いね」なんて言って…。
寒い冬はこたつに蜜柑でまったりする。
そして、一緒に鍋の材料を買いに行く。
普通のことが、やっぱり幸せ。
彼の手を握りしめながらそんなことを思った。
そんな私たちの
白い幸福。
END