『だれ?』-1
これは 僕が6歳 姉が8歳の頃の話だ
父親は 喫茶店を経営していた
帰宅するのはいつも夜中3時
母は夜中12時頃 父を迎えに行く
父と話したくて 帰宅するまで夜更かしすることも多かった
ある日
いつものように 姉とおしゃべりしながら父の帰りを待っていた
1時頃
『ピンポーン』
こんな時間に 呼び鈴がなる
姉と2人で見にいく
ドアの向こうに
男性1人 女性1人
誰か立っている影が写っている
『ピンポーン』
また呼び鈴
姉が問いかける
『だれ?』
すると
『しょ〜う さおり〜 開けて〜』
少し暗めで 高い女性の声
なんだ 両親か
鍵を開けようと 僕はドアに近づこうとした
途端 姉が僕の肩を 黙ってつかんだ