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ココロ・ココ
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ココロ・ココ-2

「俺に言わせれば、自殺なんて間違ってるし馬鹿げてる。死にたいって思う人間は、死んだ後に、真っ暗な闇、一人辛い孤独、一生さ迷う不安みたい物を考えてる。こんなに辛いなら死んだ方がいい?思い上がりもいいところだ、それじゃあ死後があって、その中で自分まで造ってる。死んでしまえば辛さなんかないのに。もういないんだからさ。
そうだな、幽霊に会ってみたいと思うよ。そうすれば死後の世界が証明できる。まぁ、その代わりが宗教だろ。
わかる?存在が亡いって事より怖い事はないんだよ。」
 
私の体は震えていた。
でも恐怖なんかじゃない。 
彼が、私のそばまできて、私を抱きしめた。
力は無く、包みこむように。
耳元で囁いた。
 
「本当はわかってる、自分の気持ち。
親と仲直りしたかったんだろ?
友達、欲しかったんだろ?」
 
私は初めて、自分の頬が濡れているのに気付いた。
 
「……わたしは、なんでもない、くだらない…ことでぃぃ…ただ…わらっていたかった…グス…だけど…ミンナは…」
途切れ途切れの私の言葉。彼は自分に言い聞かせるように言った。
「甘えるなよ、人のせいにするなよ。そんなもの、頭が悪かったから?顔がかわいかったから?どんな事でも理由になるんだ。それでも変わろうとするなら、少しのきっかけがあれば、きっと変われる。」
 
耐えられなかった。
彼の腕の中で、声をあげて泣いた。鳴咽にまみれて、目を真っ赤に腫らしながら。





 個室に一人いる彼。
似合わない煙草をふかしながらぼやいた。
「やっぱ、キツイなー。けなして、綺麗事並べて。最悪じゃん、俺。」
俺も、これがきっかけだ。彼も、そう、決心していた。
自嘲のような乾いた笑いが微かに聞こえた。





月日は流れた。
あれから二年、もう受験生になってしまう。
「春奈〜〜」
後ろから、友達に呼び止められた。
「今日さ、気晴らしにパァーと遊びに行かない?」
「ゴメン、今日ダメなんだ」
「えーー、あんまり勉強ばっかだと体こわすよー」
「えっとね、先約入ってるの」
「あっ、あーー分かった。あの噂の大学生の彼ね♪」「だから、そんなんじゃないってば!」
「ハイハイ、わかりました。わかりました。」
「もう!私行くからね。」「春奈…いってらっしゃい。」
「うん」
 
あれから、全部が上手くいったわけじゃない。辛い時もあるし、認めてくれない人もいる。
けれど、私が誰かを分かろうとしたから、今は誰かがいてくれる。


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