イトシイヒト-1
今何してる?
もしかして、出かけたかな。
それとも、風呂かな。
お前、朝風呂好きだったもんな。
何か、忘れてる気がするけど…まぁいっか。
あ、メールだ。
あれ?なんだ、タカシからか。
合コンの誘い?何言ってんだコイツ。
俺にはお前がいるのに、なあ。
速攻断って、また考える。
あーぁ、何やってんのかなぁ。
もしかして、テレビかな?
朝のニュース好きだったもんな。
それとも、飯かな。
何食ってんのかな。
あ、着信。
タカシか、しつけぇなぁ。
『もう忘れろよ、シュン…。』
は?何をだ?
『ミズホは、もう居ないんだよ!』
何だお前は?切るからな。
『もう…戻ってくれよシュン…。ミズホは………――――』
なぁ、今何してる?
なんて、聞いても返事はないか。
だってお前、まだ寝てるもんな。
朝風呂も入らないで、飯も食わないでテレビも見ないで。
誰かから聞いたけど、この夢は覚めないらしいんだ。
ずっと見続けるんだってさ。
でも、嘘っぽいよな。
そんな夢、ないよな。
だから
目が覚めた時も、傍に居られてるように
ちょっと冷えてるから握っててやるよ。
「おやすみ、ミズホ。」
良い夢見ろよ、俺の愛しい人。