fantasy ability・7‐始まりを知らせる“鐘の音”‐-8
数分間、二人とも無言で睨み合う。周りは一呼吸も出来ない空間に圧倒されている。
すると、誑笥が先に喋った。
「‥‥貴様が那奈夜を傷付けたのか?」
「‥‥だったら?」
「本気で殺す!!」
誑笥は剣を構える。
「‥‥悪いが、お前に構(かま)っている暇はない。」
「っ!なんだと!?」
誑笥は苛立ちを隠せないようであり、皇希へと走り出す!
〈タッタッタッ!〉
「‥‥言ったろう?構っている暇はないと?」
「うるさい!!死ね!」
〈ヒュン!!!〉
誑笥は素早い斬りを出すが、
「甘いな。」
〈ヒョイ〉
皇希は軽々と避けた!誑笥は振り切った姿勢を戻そうとする。
が、皇希はその隙を狙い、的確な素早い蹴りを誑笥の腹に打つ!
「!ぐふっ!」
〈ゴスッ!‥‥ドタ〉
誑笥は蹴りの反動で後ろへと少し吹き飛ぶ。すると、皇希が喋った。
「悪いが、こっちが圧倒的に不利だからな。撤退させてもらう。」
皇希は皆の所に下がる。その直後、よろめきながら誑笥は立ち上がる。
「くっ、全員でそいつらを止めろ〜!」
すると、左右にいた手下が一斉に攻めてくる!しかし、皇希が素早い詠唱をした!
「絶対空間転移召喚魔法陣構成展開!全ての粒子大気よ!全ての生存者を所定の位置へ!」
今までとは比にならない大きな魔法陣が一気に展開された!それも素早い勢いだった!
「じゃあな。いつかきっとお前を倒す。」
〈シュン!〉
皇希は誑笥を睨み消えた‥‥
「くっ、あいつめ!覚えてろよ〜〜〜!!」
誑笥は叫ぶ。すると、慌た手下の一人が誑笥に近寄る。
「誑笥様、報告します!日本全国、いえ、世界全国の生存者が一斉に消えました!」
「なっ‥んだと!どういう事だ!?」
誑笥はいきなりの事に少し動揺する!そして、少し考える。
「‥‥‥」
すると、手下とは違う雰囲気を持つ敵が近寄ってくる。
「まんまとやられたな、誑笥。」
「‥‥お前か、羅紅(らこう)。それにどういう意味だ?」
「人間が消えたのは、山崎 皇希が何かしたのだろう。流石、“カオス”様が恐れている事だけはある。」
「貴様!何しに来た!?俺らを笑いに来たのか!」
「違うな、そろそろ“カオス”様が“宣告”をする。‥‥手伝え!」
「‥‥!!ちっ!わかった。」