fantasy ability・7‐始まりを知らせる“鐘の音”‐-11
「流石だな、皇希君。」
「‥‥何がですか?」
「‥‥魔法陣消さずに戦っているのだろう?」
「それが?」
「立つのが精一杯じゃないか?」
「ですね。」
そう言いつつ、皇希は確実に一発で一人一人を倒れていく。一方、司義莉は二、三発であった。
「‥‥皇希君。」
「何ですか?」
「こっちも手伝ってくれないか?」
「嫌です!!」
「そう言わずにさぁ〜、‥‥ダメ?」
と、皇希と司義莉の間に織音が入ってくると同時に、司義莉をパーで叩(はた)いた!
〈パン!〉
辺りにいい音が鳴った。全員の時が、一瞬だけ止まる。
「お父様?いい加減にしないと、お母様に言いますよ?」
「!!それだけは勘弁してくれ!」
司義莉は両手を頭の前に出し合わせる。その様子に、織音は片手を頭を置き、はぁと溜め息を吐く。
「‥‥わかったから、止めてくれない、お父様。」
「おお、我が娘よ!なんと心広い!」
「‥‥‥」
〈ビシッ!〉
「あぅ!」
『‥‥‥‥‥‥‥』
司義莉は織音に抱きつこうとしたが、呆気なく織音に蹴られた。皇希と気絶してない生存者は終始無言だった。
すると、織音が一枚の紙を取り出す。なんとそれには、
山崎 皇希
神城 凰輝
を捕まえるなという内容が書かれていた。
「織音、まさか‥‥」
「皇、言わないで。梛は本当に‥‥」
「本当に何ですか?織音様?」
そこに梛が現れた‥‥。笑顔ではあるが、謎の雰囲気を纏っているので、生存者たちは道を開け、織音は固まっていた。
どうやら、また内閣総理大臣に“丁寧(強制?)”に書かせたらしい。
すると、梛が喋った。
「皆様!?今後、彼及び私の夫を攻撃及び虐(いじ)めなどの行為を行(おこ)ったら、天誅が起こりますよ?いいですね!?」
『は、はい!!!』
生存者たちは一斉に逃げていく。どうやら、梛に対して恐怖感が芽生えたらしい‥‥。
「‥‥織音様?いつまで固まっているのですか?」
「梛、やりすぎ‥‥。」
「そうですか?」
「‥‥‥」
と、凰輝が現れる。
「ふぅ、やっと終わったか。」
「凰輝さん、どこに居たんですか?」
「いや、どこでもいいじゃないか。」
「‥‥隠れてましたね?」
「そ、そんなこと無いよ。皇希君。‥‥えっ、な、何?皆、目が怖いんだけど‥‥」
〈ギロッ!〉
「ぎゃ、ぎゃああああぁぁぁぁぁぁ‥‥!!」
その後、凰輝は皆に殴られたり蹴られたりしたのは、言うまでも無い‥‥。
そして、三人が言った通りに世界中は遂に混沌の渦に巻き込まれた。だが、皇希が発生させた魔法陣及び結界が張られた場所の効果により、最悪の事態は避(さ)けられたらしい。
その後、これが本当の“始まり”だという事を知らなかった皇希であった。
続く