fantasy ability・7‐始まりを知らせる“鐘の音”‐-10
「‥ハァハァ‥‥」
まだ皇希は呼吸を整えられてない。余程の体力を消耗したらしい。
すると、テレビを見ていた生存者たちが騒がしくなる。
皇希はふと見る。その直後、驚きの表情に早変わりする。
その画面には、地上とは思えない風景であった。そこに一人の男が居た。
『‥‥我は、冥界の王にして“混沌の覇者・カオス”だ!』
「‥‥‥」
あの風景が暗い為、顔や容姿がはっきりとしなかった。
『今‥我々は、人間及び“神”を皆殺しにする!だが、我々にも慈悲がある!‥‥一つだけ助かる方法がやろう!』
その言葉で体育館が、いや、学校全体が興奮する。
手柄は貰ったとか、“神”なんて居ない等々言っている。
『助かる方法を言う!
山崎 皇希!
神城 凰輝!
‥‥この両者を我が四天王に連れてこい!そうすれば、その者は助けてやろう!』
そう言った直後、ご丁寧皇希と凰輝の写真、そして、四天王の写真が表示された。
「‥‥ハァハァ、まずいな。」
そう言い立ち上がる皇希。壁を使いなんとか立つが、
「‥‥おい!こいつ!山崎 皇希じゃないか?」
「‥‥!!」
生存者の一人が気が付いてしまったのだ。
「くっ!」
皇希は出口に走り出す!しかし、体力が無い皇希には五十メートルが遠すぎた。すぐに、囲まれてしまった。
「‥‥こいつを捕まえれば、死なずに済むんだ!」
じりじりと近寄ってくる。
〈バン!〉
急に大きな音がした!生存者全員はその音の方向に向く!
「今だ!皇希君!」
と、司義莉の声が外から聞こえた。皇希はその一瞬をついて、外へ出た。
「司義莉さん!」
皇希は司義莉に近寄る。
「大丈夫かい?」
「なんとか‥‥」
「‥‥さて、どうしたもんかな?彼らは、普通の人間だからな。」
「‥‥‥」
外に出た皇希と司義莉の周りには、殺気立った普通の人間が大勢居たのであった。
「もちろん殺す訳にはいかないからな、皇希君?」
「わかってますよ。」
「ならいいや。いくよ!」
皇希と司義莉は大勢の人間に突っ込む!次々に倒れていく。もちろん、拳だけでやっているので、人は気絶しているだけだった。