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俺と俺様な彼女
【コメディ 恋愛小説】

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俺と俺様な彼女 〜番外編〜-4

「ここです。」
「ありがとう。ごめんね。」
「いいですよ。じゃあ俺はこれで。」
「おやすみなさい。」
「おやすみなさい。」

ふう、来たはいいけど…やっぱり怖い。心臓がさっきから激しく鳴っている。でもここまで来て引き返すわけにはいかない。私はチャイムを押した。
「はい?」
「あの、月宮保奈美です、あの、数馬君の…友達の。」
「ああ、ちょっと待ってくださいね。」
言えなかった。彼女って。それがとても悲しかった。

がちゃ。
数馬の顔を最後に見てからまだ一日しかたってない。それでも、数馬の顔を見ると涙が出そうだった。でも我慢だ。まだ泣くわけにはいかない。

「こんばんは。ごめんなさい、夜遅くに。」
「いえ。」
「ちょっといい?」
「あっ、はい。」
「ここじゃ、その、あれだから、どこか他のところで。」
「じゃあ近くの公園に行きましょうか。」
「ええ。」


公園に着くまで何もしゃべらなかった。すぐにでも謝りたい衝動に駆られたが公園までは我慢しようと思った。


公園に着いた。謝りたかったが数馬の顔を見ると喉に物が詰まってるように声が出ない。我ながら情けない。貴人や憲一君に後押しされたのに最後の一歩がなかなか踏み出せない。それでもずっとこうしてる訳にはいかない。謝ろう、例え許してくれなくても。
「・・・ごめんなさい。」
「え?」
「馬鹿なこと言ってごめんなさい。許してくれるとは思ってないけど、それだけ言いたかったの。」
「そんな、別に許さないなんて。俺のほうこそ怒鳴ってすいませんでした。」
「ううん、数馬は悪くない。」
「じゃあ先輩も悪くありませんよ。」
「・・・」
「・・・」
「私のこと嫌いになった?」 怖い。
「いえ、そんな。」
「気を遣わなくてもいいのよ。それだけのことを言ったんだし、覚悟はしてるわ。」 嘘。覚悟なんて全然できてない。
「嫌いになんかなりませんよ。俺が好きな人は先輩だけです。もちろんあの告白より前からずっと。」
もうだめだった。堪え切れなかった。うれしいとか安心したとかそんな感情じゃなく、ただ数馬のそばに行きたかった。
「ほんとに?ほんとにほんと?」
「う、嘘じゃないですよ。」
だめだ。涙が止まらない。昨日と今日でさんざん流したはずなのに私の涙腺はとどまる所を知らなかった。
止まらないのは涙だけじゃなかった。さっきまでは喉に詰まっていたものがいつのまにか取れていたらしい。気がついたら私は数馬に自分の気持ちをさらけ出していた。


ようやく落ち着いた。まだ鼻の奥がつんとしていたがともかく落ち着いた。
「落ち着きましたか?」
「うん、ごめんね。」
目の前に愛しい人の顔があった。目が不自然に動いていて、頬が赤い。・・・そして、なぜか私は唇に目がいった。
「ん・・・」
「ん、んんーー!?!?」
驚いた様子の数馬。気づいたらキスしていた。私のファーストキスだったが全然惜しくなかった。むしろ温かい気持ちが体を包んでいた。
少し名残惜しかったが離れる。数馬とも仲直りできたし万々歳だった。・・・でもこの馬鹿は・・・


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