「【巫女】=【俺好み】 」-1
6月7日(金)午前11時
俺は柏原京(かいばらきょう)、22歳、カッコいい方だと自分で思う、好みの女は巫女、そして童て……っとそんなことはどうでもいい。仕事は……フリーター
「だった」
と言うのが正しいだろう。今はこのぼろくさい神社……神酒巴(みきともえ)神社の主人をやってる。
なぜ主人になったかって?話を少し前の日に戻そう。
6月3日(月)午後3時
ここは神酒巴神社内の居間。手を頭の後ろに組みながら寝ている人物が一人。
「何が楽しくてフリーターやってんのかね、俺は。 ま、いつでもサボれるし、こっから巫女さん見れるからいいか」
その人物は柏原京だ。
よっ、と体を起き上がらせる。そして懐から取り出した双眼鏡で外を見る。
「お、今日も明るく掃除してますねぇ……。黒く長い髪を靡かせ懸命に掃除する巫女……うーん、萌える」
まじまじと見ていたその時。ゴツッ!と後頭部に、鈍い衝撃が……。
「うがっ!?」
あまりの痛さに、持っていた双眼鏡を落とす。そして後頭部をさすりながら振り向く。
「まぁたサボっとんのかぁ!お前はぁぁぁ!!」
この馬鹿でかい声を出すクソハゲは叔父の柏原黄泉継(かいばらよみつぐ)。
この神社の主人だ。82歳らしいが50近くに見える程元気。
俺はこのクソ親父と一緒に、ここで暮らしている。正直最悪の毎日だ。
「孫に頭突き喰らわせる叔父が、どこにいるんだよ!」
「やかましい!さっさとそこに正座せい!」
………例えるなら鉄〇の平〇みたいな人だ……。渋々と正座をする。
「だいたいお前はガミガミガミガミガミガミガミガミ………」
ちらっと外を見る。
巫女がこっちを見ながら、口に手を当てクスッと笑う。
(クスって…漫画じゃないんだぞ。ってかそこまで笑うか?)
ビシッ!と肩を竹刀で叩かれる。ってゆーかいつの間に竹刀持ってたのか。
「聞いとるのかぁぁ!!」
「聞いてるだろうが!」
話が長くなるので説教を省略中………
1時間後
「はあああ……。やっと終わった……」
足を崩し伸びをする。
「お、そういえば大事な話がもう一つあるぞ」
「げぇ!?まだあんのかよ!!」「今度は長くならんからちゃんと聞け」
「へいへい……」
そう言いながらまた正座をする。