刃に心《第10話・Good Morning》-5
「さっさと支度をせぬか馬鹿者!」
「馬鹿者って…」
「返事!」
「は、はい!」
勢いよく扉が閉めた。その閉めた扉に寄り掛かりながらはぁ、と溜め息。
(そんなに人生甘くはないと言うことか…)
そんなことを思っていると、背後からバタンバタンという音が聞こえる。どうやら時刻を見て、疾風が焦っているようだ。
「本当に…馬鹿者…」
ポツリと呟き、楓も支度を始める。
朝。迎える者の心境は千差万別だが、どのような気持ちであっても一日は始まる。
続く…