俺と俺様な彼女 〜7〜-1
「ちょっと先輩、待ってください。」
「ついて来ないでよ。」
「何をそんなに怒ってるんですか？」
「別に怒ってないわよ。」
あの告白の後、急に『帰る。』と言って先輩は帰りだしたので、車で送ろうとする親父を先に帰らせ、(親父は満身創痍だった。病院に入っていく時は無傷で出て行く時にぼろぼろになってるのは親父ぐらいだろう。)とりあえず前橋さんには『明日学校で』と言って慌てて先輩を追いかけた。
「どうみても怒ってますよ。ひょっとしてあの告白に対してですか？だったら俺は…」
「だったら何？」急に立ち止まって聞いてくる先輩。
「俺は別になんとも思ってません。」
「本当に？」
「は？」
「本当に何も思ってないの？」
「どういう意味ですか？」
「結衣ちゃんから聞いたわよ。数馬、私の性格知らないで告白してきたんでしょう？それに数馬は本当はおとなしい子がタイプだって。」
「…それと今が何の関係があるんですか？」
「心の中ではちょうどいい機会だから私と別れてあの子と付き合おうって思ってるんじゃないの？」
谷岡数馬16才、普段はめったにキレない俺だがこの一言にはさすがにキレた。
〜これはどっきり？〜
「ふざけないでください！！」
「っ！？」
「俺は、確かに先輩の性格を知らないで告白しました。どちらかというとおとなしい人がタイプなのも本当です。でも、だからって、俺は好きでもない人と付き合えるほど器用な人間ではありません！！」
「・・・」
「・・・先輩は俺のことを今までそんな風に見てたんですか？」
「！？ち、ちがっ」
「何が違うんですか！！先輩は今そう言ったんですよ！！」
ちくしょう、泣きそうだ。 ダッ！！
俺は走り出した。というより先輩から逃げ出した。泣いてるところを見られたくないのもあったがそれ以上に先輩の顔をこれ以上見ていられなかった。先輩が後ろで何か言っていたが今はどうでもよかった。体中の筋肉が『馬鹿なことをするな、さっさと止まれ！』と叫んでいたがそれも無視だ。とにかく先輩から離れる、それしか頭になかった。
「ただいま。」
「ああ、おかえりなさい。先に帰ったけど大丈夫だった？」
「うん、母さん、俺疲れたからもう寝るわ。」
「そのほうがいいわ。おやすみなさい。」
一人になると我慢していた涙があふれてきた。先輩に対する怒りよりも先輩に信じてもらえていなかったことに対する悔しさややるせなさが大きかった。
「ああ、終わったな。」
先輩の性格からしてあそこまで言われたらさすがに別れるだろう。それを思うと余計に涙が出てきた。ああ、くそ、やっぱりキレなきゃよかった。今頃後悔しても遅いが。時間が経つにつれて後悔が俺の体を包んでいった。
結局疲れていたにもかかわらず俺はほとんど寝られなかった。