恋する少年少女【2】-7
「なによさっきから聞いてれば…女は得だ!みたいな言い方して!見なさい!ここに女だけど得してない女がいるのを!」
アタシは胸を張って見上げる春日くんに顔を近付けた。
「頑張ってもいないのに…他の人を恨んじゃダメ」
叩いてごめんね…と付け足して、アタシは春日くんに手を差し伸べた。
最初呆気にとられていた春日くんだったが、差し伸べられた手に気付くとその手をペチンと叩いてさっさと立ち上がった。
「恨んでねぇよ…別に」
いつもの子供っぽい口調で拗ねたように言葉が返ってきた。
アタシは成長を見守る先生のように、偉そうに腕を組むとニカッと笑みを浮かべた。
「アタシは頑張ったよ」
アタシの言葉に、春日くんは視線を上げアタシを見た。
「次は、春日くんの番!」
その言葉と同時にアタシは頑張れの意味をこめてこぶしを握り突き出した。そして満面の笑みで一言。
「応援、してあげるから!」
再び呆気にとられ、口を開けたまま閉じるのを忘れかたまる春日くん。
アタシは彼を見てさらに笑顔を作るのだった。