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淫魔戦記 未緒&直人
【ファンタジー 官能小説】

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淫魔戦記 未緒&直人 3-17

〜エピローグ〜


五年後。

若い二人の華燭の典が、今執り行われようとしていた。
その、控室。
「やっ……ちょっと!」
「大丈夫。移らないように気を付けるから」
「そういう問題じゃ……ん、ん」
半ば無理矢理唇を塞がれ、本日の主役の片割れ−花嫁は、甘い声を上げる。
「あっ、ちょっと!」
もう一人の主役−花婿がドレスの下に指を這い込ませてきたため、花嫁が抗議の声を上げた。
花婿はショーツの上から、ふにふにと秘丘を押す。
「あっ、や……!」
間接的に陰核を刺激され、花嫁はなまめかしい声を上げた。
「ほら、何だか湿ってきたよ」
花婿は、花嫁のショーツ越しに秘部をいじり回す。
「もう、やめて!」
花嫁が本気で嫌がり始めたので、花婿はしぶしぶ指の動きを止めた。
「ん、もう……!」
花嫁は唇を尖らせ……不意に吹き出した。
「やだ、口紅移ってるわよ」
「えっ!?」
花婿は掌で、微かに紅く染まった唇をごしごしと擦る。
「だから止めてって言ったのに」
花嫁はくすくすと笑った。
「でも、これじゃ後で困るわね……」
花嫁はティッシュを探し出し、一枚手に取ってはみ出ないように気を付けながら、軽く口紅を押さえた。
「もう移らないか確かめようか?」
いたずらっぽく、花婿が言う。
「馬鹿」
本気ではない口調で、花嫁が答えた。
「……でも、信じられないなあ」
花嫁の姿を上から下まで眺めながら、花婿はそう呟く。
「何が?」
「僕達、本当に結婚したんだ」
その言葉に、花嫁は微笑んだ。
よほどその事実が信じられないらしく、花婿は三日に一回はこの言葉を呟いている。
花嫁も同感なので、特に異論は差し挟まないが。
−花婿が十八歳の誕生日を迎えた翌日に二人は婚姻届けを提出し、夫婦となっている。
そこに至るまでの道程は、短くも易しくもなかった。
花嫁側は特に問題はなかったものの、花婿側は問題があったのである。
家を支える内側の人間は二人の間に結ばれた絆の強さを知っているから、強烈な賛成を示した。
家を支える外側の人間は外側の業務に有益な女性との結婚を考えて、猛烈な反対に出た。
最初は花婿も穏便に彼らを説得したのだが、あまりの頑固さに彼らを怒鳴り付けてしまう。
『僕が彼女を愛している!彼女を捨てて他の女性と結婚しろだと!?代々の当主がお前達に今まで一度でも政略結婚を勧めた事はあったか?なかっただろう!お前達、どの面下げて喋ってるんだ!!?』
噴怒という表現がふさわしいその言葉に外側を支える人間は震え上がり、慌てて二人の結婚を了承した。
それが決め手となって結婚へ向けて話が進み始めたものの、今度は式次第がなかなか決まらない。
最高の日取りを選ぶという点では陰陽道本来の仕事である占いによってあっさりと決まったが、決めなければならない事が山積みになっていた。
その辺はたいていどこのカップルも一緒だと思われるので、省かせていただきたい。
結局のところこの二人の場合は結婚式を都合三回も行わなければなかった事だけを記しておく。
一つ目は花婿の立場上の必要から生じた政財界の要人などを招いての、言わば外へ向けての結婚式と披露宴。
二つ目は親類縁者を招いての、結婚式と披露宴。
そして今日は三つ目の、友人知人を招いての披露宴だった。
トントン
時間にまだ余裕があるので二人で他愛ないお喋りをしていると、不意にノックの音がした。
「お客だ」
花婿が応対に出るより早く、ドアが開いて彼が入ってくる。
年の頃なら十二歳前後。
伊織を幼くしたような顔立ちの少年だ。
「伊織」
花嫁が、少年を見てそう呼んだ。
脳裏に、あの日の事がフラッシュバックする……。


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