「君」-1
夢を、笑顔で語る君が好きでした。
私はいつも、隣で聞いていたけれど
ほんとは、君の目を見つめていました。
なんてヒドい恋人だったんだろうね。
君が話す言葉には耳もくれずに、全神経を君の瞳に注いでいました。
遠くを見つめながら細める、その仕草が好きでした。
強がりな、君の性格が好きでした。
私はいつも、君には泣いて欲しかったけど
ほんとは脆いくせに、絶対にうつ向かない君の芯が好きでした。
なんて不器用な恋人だったんだろうね。
最後に私から「ごめんね」って、君に抱きつく瞬間が幸せでした。
「俺も」って、絶対口では言わない君が好きでした。
いつも周りを思い遣る、優しい君が好きでした。
私はいつも、君には頼って欲しかったけど
ほんとは優しいくせに、ちょっとカッコつけな君に甘えていました。
なんて子供な恋人だったんだろうね。
もっとしっかりした女にならなきゃと、君のために努力してる自分が好きでした。
それを褒めてくれる、優しい君が好きでした。
思い返せば、良いことばかり。
愛してくれた、君が好きでした。
愛されてくれた君が、大好きでした。