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淫魔戦記 未緒&直人
【ファンタジー 官能小説】

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淫魔戦記 未緒&直人 2 〜覚醒〜-5

神保家へ帰って来た榊は、すぐさま直人の元へ向かった。
帰ってくる途中に携帯の方を鳴らしてみたのだが、出なかったので家中を捜し回る。
携帯は、部屋に置かれていた。
離れにも台所にも、庭にもいない。
ようやく見つけた時、直人は道場で座禅を組んでいた。
「若、一大事です」
「何だよ、騒々しい」
精神集中を邪魔されて、直人は不機嫌な声を出す。
最近は雑念が入る事が多いので、座禅でも組んで集中力を養っておこうとしていたようである。
「藤谷さんの件でお話があります」
直人の顔色が変わった。
「どういう事だ?」
「あのまま放っておきますと、淫魔になります」
「何だって!?」
落ち着いた口調で、榊は説明した。
「実はたった今、藤谷さんの所にお邪魔してきました。たぶん藤谷さんは、遠慮なさって連絡をしてこないのでしょう?中身はどうあれ端から見れば、若と納得ずくで体を重ねているわけですから」
「それは……確かに」
それは直人も認めざるを得ない事実だった。
「遠慮から我慢したあげく、抑制が弱まって今はフェロモンを辺りに撒き散らしています」
「フェロモンを!?」
「嗅いだところ、性別に関係なく人の性欲を煽るような代物です。若も遠慮などされずに、藤谷さ……」
皆まで聞かず、直人は道場から飛び出していた。


しばらく甘く柔らかい唇を味わってから、俊樹は未緒に囁いた。
「未緒……好きだ」
「えっ」
「好きだ」
未緒が口を開いたが、俊樹が自分の唇でふさぐ。
未緒が腕の中でもがいた。
「んん……!」
未緒の抵抗は弱かったが、あきらめる気配はない。
しばらく我慢してキスしたが、根負けして俊樹は唇を離した。
「未緒……」
「……ごめん、なさい」
「……俺じゃ不満か?」
俊樹の優しい問い掛けに、未緒は首を横に振る。
『好きだ』と言われた瞬間脳裏をよぎった顔が、俊樹を拒んだ。
今まで気付かずに、心の奥深くで育んでいたほのかな想い。
知らずに、惹かれていた少年。
「好きな人がいるの……今、告白された時に気付いた……ごめんなさい……」
「……そっか」
俊樹は淋しげに微笑んだ。
「俺の告白が、呼び水になっちゃったんだな?」
答えられずに肩を震わせる未緒の事を、俊樹は軽く抱きしめる。
怒ったり追求したりする権利があるのに、そうやって未緒を追い詰める事など考えられなかった。
「俺の事を悪くは思っていなさそうだから、勇気出したんだけどなあ……その男が、うらやましいな」


直人は家を飛び出す前に部屋に寄って携帯をポケットに忍ばせていたのだが、その携帯が鳴った。
着メロは、未緒専用の曲だ。
「未緒か!?」
通話ボタンを押すなり、直人は叫ぶような声を上げた。
「榊から話は聞いた!今君の家に向かってるから、おとなしく部屋で待って……え?」
電話の向こうにいる人物が、声を荒げた。
『未緒の身が危ない!あんた神保直人だろ!?頼むから助けるのを手伝ってくれ!』
向こうの声の調子が、尋常ではない。
「……詳しく説明してくれ。未緒の身に何があったんだ?何故君が未緒の携帯を持っているんだ?」
頭を冷やしてから、直人は尋ねた。
「それに、君は何者なんだ?」
『俺……俺は、篁俊樹。街の悪ガキの間じゃあ、わりかし名が通ってる』
直人は少し眉を寄せた。
『で……何日か前に色々あって未緒と知り合って、俺が未緒に惚れて纏わり付いてたんだ』
今度は目を見開く。
『うっかりしてた……そんな真似したら、俺を潰そうとしている奴らが未緒に目をつけないわけがない』
「つまり?」
回りくどい言い方に焦れて、直人は先を促した。
『あいつら……俺を気絶させた後、未緒を誘拐しやがった!!』


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