約束-2
教室には一人取り残されたあたしと、無数に並べなられた机。その端っこの席に腰掛け、窓から校門を見てみる。
はにかむ彼女と
嬉しそうな裕太
「はぁ……」
その二人を見てると、幸せなような、悲しい、すごく空しいようなキモチが心を覆う。
「あの日の約束、あたし本気だったんだけどなー……」
二人で手を繋いで、校門を出ようとしている二人を見て呟く。
「あたし、ほんとに奥さんになれるのかな……なれないかな」
とてもなれそうには無かった。
中学生になってからは喋ってもないし、今日だってたまたま二人残ったからだろう。
しかも愛する彼女がいるし。
「彼女いるのに『可愛い』とか言うなよなー……期待しちゃうじゃんかぁ」
『かわいい』なら、今すぐあたしと付き合って欲しい。約束を守って欲しい。
そんな想いが全身を駆け巡って。
一人じゃどうも止められなくて。
脳が、心が。
裕太だらけになってしまう。
『好き』
この一言で済む問題なのに。
その一言で済む問題では無くなって。
この想いは
どこにどうやって閉じ込めれば良い?
この想いは
いつ消えて無くなって行くのか?
今のあたしには、
『彼女大事にしなよ』
と、偽善者ぶることしか出来ない。
見たくない現実に向かって、偽の笑顔を作り出すことしか……。
これ以上『好き』にならないために。
LOVEをLIKEに変えるために。
「きれーな落ち葉……」
二人が去った後の校庭には、無数に拡がる落ち葉。
それはまるで絨毯みたいで。
裸の地面を暖めているような気がして。