last night-1
「ねぇ…」
「…んっ?……何?」
「寝てた?」
「うとうとしてた」
「ごめん、起こしちゃった」
「大丈夫」
「……」
「眠れない?」
「なんていうか、ついに明日だなぁって思ったら、いろいろ考えちゃって」
「まさか、今更迷ってはいないよな?」
「ふふっ、明日は一人でバージンロードかもね」
「それはせつないな」
「ふふふっ、ドレスは着ちゃイヤだけど、ベールは付けてもいいよ」
「おいおい…明日早いんだぞ」
「……女の人って、二番目に好きな人と結婚すると幸せになれるって言うじゃない?」
「あ、オレが一番だから心配になったんだな?」
「残念でした。二番ですぅ」
「うそぉっ!?」
「一番は高校のとき好きだったシュウくん」
「…ほぉお?」
「何よぉ、今さらなヤキモチやめてよ」
「今さらな話したのはどっちだよ」
「大事なことなのっ。まじめに聞いて」
「はいはい、聞かせていただきます」
「シュウくんは、なんて言うかさりげなく優しい人でね、モテるグループにはいたけど、メジャーではなかったの」
「トップにいたオレにはわからない話だな」
「はいはい」
「うわっ流された」
「で、私はすごく好きだったけど、友達以上には見れないってフラれちゃった」
「まあ、決まり文句だな」
「ほんっとにショックで、涙は止まらなかったし、優しい人だからこそツラかった」
「…まあ、そうだろうな」
「私、会社がツラくてやめたいってずっと言ってたときあったでしょ?」
「あ、ああ。話飛んだな」
「あのとき、シュウくんにメールしたんだ」
「ええっ!?」
「『会社辞めたいって思ったことある?』ってだけ」
「……」
「何よぉ。メールしたのはフられてから今までそれっきりなんだからいいでしょ?」
「過去だもんな」
「そう、過去よ」
「……で?」
「で、『あるよ』って返ってきた」