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全てを超越
【コメディ 恋愛小説】

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全てを超越『3』-2

「どっちにしろ。お前が乗るバス停までだけどな」
そう、さっきは会話がうやむやになったけど、こいつはバス通学だ。で、俺はバスに乗らない。
必然的にバス停で『また明日』の現状だ。
しかし、次の一言がそんな現状を見事に粉砕した。
「大丈夫。私、ヘルメット買ったの。これで、あなたのバイクに私も乗れるわ」
ズコーッ!!
「大丈夫?派手に転んだわね」
転ぶわ!!これが転ばずにいられるか!!
「メット買ったぁ!?」
起き上がってみれば、朝霧がサックから取り出したのはよりにもよって高そうなフルフェイス……。
二ケツする気満々ですな。
「さっきから鞄以外になに持ってんのかと思えば、メットやったんかい!?」
思わず関西弁を使ってしまうぐらい驚いた。おれ、関西出身じゃないのに。
「……? 何も問題ないはずよ。君のバイクの最大搭乗員は二名。加えて、君はこの間で免許取得から一年。二人乗りしても、スピード違反でもしない限り、白バイ隊員に手を振りながら走行する事も可能よ」
心底不思議そうな顔をした朝霧がそうのたまった。
手を振りながらって……。しないしない。普通は絶対しない。
それどころか、捕まって説教される。
それにしても、何で免許取って一年なの、知ってんだ?
ま、まま、まさか……スト…
「ストーキングはしてないわ。君の友達に聞いたの」
「聞いたぁ?誰に」
誰だよ、そんな馬鹿は?
「君の後ろにいる彼ら」
なにっ、後ろ!?
「よっ」
「生きていたか。何よりだ」
そこにいたのは郭に泰明だった。
「お前ら……」
「彼らが私にとって、何よりも重要な情報を提供してくれたわ」
「その重要な情報って…」
「無論、君のよ」
俺のプライバシーはどこに行った?
「プライバシーの侵害かもしれないけど、これも私の、君への愛ゆえと思って欲しいわ」
そこまで暴走してる愛は勘弁して。
まっすぐ向けてくれるのは、恥ずかしいけど嬉しい。しかし、全力疾走でこっちにまっすぐ暴走してくる愛は凶器だ。
今まさに、俺は体感してる。
「そこまで想われているとは、個人としてはともかく、一人の男としては羨ましいな」
本気で思ってんのか、泰明?
鉄面皮の裏で笑ってんじゃねぇだろうな?
「全くだな。まぁ、俺には胡桃がいるから、別に良いけど」
さりげにノロケてんじゃねぇよ。
「片山君は佐伯さんと恋人関係にあるのね、羨ましい」
「そう言う朝霧さんこそ、時間の問題じゃないッスか」
「いえ、彼とはまだ清い友人関係にあるわ。所謂『友達以上恋人未満』な関係だと思うんだけど」
「まだ友達『以上』じゃねぇ。本格的に知り合って数日だぞ」
「……そうね。自惚れが過ぎたわ」
いやだから、本当にそんな悲しそうな目しないで。罪悪感が沸々湧いてくるから!
「てめ、何悲しませてんだよ!学校中の男、敵にまわしちまうぞ」
「じ、事実を言ったまでだろ」
つーか、もうほとんど敵にまわしてるって。
「ふむ、確かに事実だな。確か……『まだお前を好きな女としては見れない。だから、友達として付き合おう。それで、お前の事、好きになったら俺から告白する』……だったか?」
「えぇ、その通り」
いや、な…なんで知ってんの?
俺の一世一代の赤面ものの返答を?
朝霧も素で認めてるし。


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