星明かり-1
僕は怖い物や嫌な事、信じたくない事に直面した時はいつも夜空を見上げていた。何故こんな事を始めたかって?それは昔……………
――――――――――――今日、学校でテストの点数が悪かった。先生や家族にうるさく言われる事を考えると……憂鬱になってくる。そんな日は夜に空を見る。ここは周りも自然で溢れているから…星がたくさん見える。夜までの時間が長く感じるのは毎度の事だ。
いてもたってられなくなり僕は外に飛び出して…家の近くの小高い丘へと走った。部屋の窓の四角形なんかには収まらない星空が、ここでは一望できる。
『………ふぅ』
丘に着いた僕は野原に寝そべった。背中に土と草を感じる。
僕の目線の先の空にはまだ星が一つも見えない。
『………寝るか…』
起きたら明日の朝、なんて事はないと思った。――きっと目覚めたら星達が僕を迎えてくれる――
そう思い、僕は草と土に抱かれながら眠った。
―――僕は今…夢を見てるのだろうか。それとも目覚めたのだろうか。ここはどこだろう……いや場所はさっき眠っていたはずの丘だ。けどなんか……違う気がする…。
『おい。』
振り返るとそこには…兄貴がいた。僕の兄貴?
『なんだよその顔。』
兄貴は確か――……。
『久しぶり。』
死んだはずだよな……。
『なんで………。』
『なんでってなんだよ??頭イカレたか??』
この口調は絶対兄貴だ。忘れるはずがない。……そーか…これは夢だよな…夢じゃなきゃ…人が生き返るなんて事はない…。
『兄貴ー。なんでここにいるんだよ?』
『ん?あーお前つけてたの。』
『は!?……。』
『最近お前暗そうじゃん。いっつも空なんか見ちゃってさ。』
確かに…最近悪い事続きだった……。けど夢にしては変だな??
『お前さ。オレが死んでからだよな?……空見上げ始めたの。』
『!!!……なんで知ってるんだよ…』
『あはは!!言っとくけどこれ夢なんかじゃないぞ。なんていうか……うーん……ファンタジー?。』
意味がわからなかった。確かに兄貴が死んだ日に空を見上げ始めた…。星がその時の悲しみを癒してくれるようで…。それから嫌な事があったら星を見ていた。……これは夢じゃない………のか。