想いの行方U-8
「…何?」
「…怒ってる?」
「はぁ?」
「妬くなって〜」
「ばっかじゃないの」
「あ?」
「別に妬いてないから。調子のりすぎ」
「…んなことないし」
「はいはい、そうやって女に愛嬌でもふってればァー?」
「…喧嘩うってんのか?」
矢田が少し真面目な顔をした。だけど私の口は止まらなかった。
「は?意味分かんない」
「まじ可愛くねー」
「…っ!だったら可愛い後輩にでも癒してもらえば?!」
「……お前そんな奴だっけ?」
胸が………痛かった。
これ以上かっこ悪い自分を見せたくなくて、私は教室を出た。
これじゃぁ、妬いてるみたいだ。
恋をすると自分がおかしくなる。
嫌な自分ばっかり出てきて、情けなくなる。
その日は一日保健室で過ごした。
休み時間の間に麻衣が心配して来てくれたけど、あまり話す気分にはなれなかった。
麻衣は「心の気持ちよく分かるよ」と言って保健室を出て行った。
―――――
「…はぁ」
保健の先生に起こされて目が覚めると、もう放課後だった。
先生は呼び出しがかかって、鍵を私に渡して出て行った。
「おい」
聞きなれた声の方へ顔を向けると、ドアに寄りかかるように矢田が立っていた。
「鞄持ってきた」
「……」
いつも思うけど、矢田は本当にタイミングがいい。
ベットの上に鞄を置いて矢田は向かい合うように私の前に座った。