想いの行方U-4
「心のがいい!」
「……分かったってば!」
ほんと可愛くない。
矢田は私の顔を覗き込んで、ぷっと吹き出した。
「わはは、顔赤い」
「うるさいなー!」
「かーわいいの」
マフラーに顔を埋めると、頭を軽く撫でられる。
絶対調子にのってる。私が照れるの分かってて好きだとか言う。本当に意地悪。
だけど………。
口には出さないけど、そんな矢田に私は惚れてる。
「あのさ………指輪ありがとう」
「おう。サイズ合ってた?」
ほらっと薬指に光る指輪を見せる。矢田は「さすが俺!」と満足気に笑った。
何だか……
悔しいけど…………幸せだ。
「バレンタイン、矢田くんにあげるー?」
「あげる、あげる♪」
「でも彼女いるじゃん?」
「えー、そんなの関係ないよ」
…関係ないのかよっ!
トイレでたまたま聞こえた会話。
別に妬いたりしてるわけじゃないけど、女って怖い。
みんな作るの上手いのかな…。
"好き"とか簡単に言えちゃうのかな…。
嫌だな。
他と自分を比べてしまう。