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想ぃの行方
【青春 恋愛小説】

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想いの行方U-3

「心はあげる相手いるからいいなぁ」

「別にー」

「あ、またそんな冷たいこと言ってる」

「てか、その日誕生日だしね」


私の誕生日から一週間後……2月14日、バレンタインデー。

それと矢田の誕生日。

バレンタインデーに生まれてくるとはめでたい奴。


「おい、人の誕生日を付け足したように言うな」


パタパタと下敷きで扇ぎながら教室に入って来た矢田と速水。

冬の風でぺたんこになった髪をかき上げる仕草がちょっとかっこいいとか思ってしまう。

もう本当に重症だ。


「西野、誕生日おめでとう」


爽やかな笑顔で言ってくれる速水。本当に男前だと思う。なのに何で矢田と付き合ったのか自分でも分からない。惚れたもん負けってやつ?


「お、バレンタイン特集っすか!」


麻衣の雑誌を見てわざとらしく言うのはもちろん矢田。


「矢田くん来週誕生日なんでしょ?」

「そう!プレゼント待ってるから麻衣ちゃん♪…あとバレンタインも」


そう言ってこっちに視線を送ってくる。だから思いっきり逸らしてやった。





―――翌日。


「バレンタインはモンブランがいいな」


昨日の埋め合わせに放課後誘ったことで上機嫌な矢田。


「季節違うし」

「じゃぁ、ガトーシュコラ」

「そんなの作れないから。他の子にもらえば?」

「いらねー」

「甘い物好きじゃん」

「好きな女のしかいらね」


矢田はこんなことをさらっと言う。私はこんな性格だから甘い言葉なんて言えない。


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