アッチでコッチでどっちのめぐみクン-43
……チャンス!……
シープがすかさず葵の側面に回り込みながら近づき、驚いた葵の体にしがみつくと、するりと背後に回っていく。
「きゃあっ!?」
葵は背後からがっちりとシープに抱きつかれ、そのまま床に引き倒された。
シープはすかさず、葵の両腕を後ろに引っ張って自分の左腕を絡めてロックすると、右手を葵の股間へと伸ばす。
「!? ひっ、こ、このっ!」
葵が身体をよじらせて脱出を図るが、両腕をがっちり固められていて逃げ出せない。
「あきらめなさい。私の勝ちよ」
シープは、右手で葵の股間をまさぐり、舌を首筋に這わせながら耳元で降伏するよう囁きかける。
しかし、葵は精一杯後ろのシープの方に顔を向けると、口の端でにやりと笑った。
「それはどうかしらね? ……ねぇ、めぐみクン」
「えっ!?」
シープが慌てて、今の今まで忘れていためぐみの姿を首を振って捜す。
「……ごめんなさいっ!」
その声が聞こえた直後、今度はシープが何者かによって背後から両腕を掴まれてしまっていた。
会心の笑みを浮かべる葵の視線の先には、精一杯の力を振り絞って、シープの両腕にしがみついているめぐみがいた。いつの間にかトランクスを履き直している。
「うぁっ!? も、もう、薬の効果が切れたの!?」
シープが自分の両腕を必死で掴んでいるめぐみの姿を確認して狼狽する。
「そうねぇ、あの薬飲まされてからもう一時間以上経ってるものね……ちょおっと手間取りすぎたのかもね」
「う、嘘!? もうそんなに経ったの!?」
「意外と効力が短い薬だったようね。相当自分のテクニックに自信があったんだろうけど……裏目に出たわね」
戒めを解かれた葵が、めぐみに捕まっているシープの目の前ですっくと立ち上がる。
シープの顔色がみるみる蒼くなっていった。
「……めぐみクン、そいつ、しっかり捕まえててね」
「う、うん」
「ちょ、ちょっと!? どうするつもりよ!?」
シープがなんとか逃れようと体をじたばたさせるが、それをめぐみは薬が抜けたばかりの体で必死になって抑えつける。
葵がすたすたとテーブルの方へ歩いていく。
「……どうするつもり? 決まってるじゃない。折角用意してくれたんだからやっぱり使わないとねぇ……」
そう言って葵は、テーブルの上に置かれたままになっていた張り形を手に取った。
「う、嘘ぉっ!? ちょ、や、やめぇっ!」
「うるさいわね。覚悟を決めなさいよっ」
葵はシープの真正面まで来て座り、シープの股間へと右手を伸ばしてショーツをめくる。そしてそっと人さし指と中指を亀裂の奥へと侵入させる。
「ひぁっ、だ、だめっ! うぁぁっ」
「……あんまり濡れてないわねぇ……そりゃそうだけど。可哀相だから、もうちょっといじってからにし〜よおっ」
葵が楽しそうにシープの中を掻き回し始める。めぐみの体に、大事な所をいじくられてガクンガクンと震えるシープの体の震動が伝わる。
「やぁ……やめ、やめて、よぉ……うぁっ!」
「……な、何? もうこんなに!? ……あんた、守りに入ると案外脆いのねぇ……」
シープの中はたちまち溢れてきて、葵の指先をびしょびしょにする。
葵は、シープに締めつけられていた二本の指を抜き取ると、指先を擦り合わせて濡れ具合を確かめる。
「これなら、さっさと終わりにできそうね」
そう言うと、葵は左手に持っていた張り形を両手でしっかりと持ち替えた。
第12話 おわり